新型コロナウィルスの感染が広がり、この週末東京は、外出自粛要請という驚愕の事態となっています。これに対する私の意見は別稿で述べるのですが、何せ新型コロナウィルスの話はデータに乏しく、私を含め多くの人が雲をつかむような議論をしています。
そこで、議論の一助にという事で、「新型コロナ感染シミュレーション・ワークシート」をアップさせて頂きます。よろしければ、このワークシートに適宜変数を代入し、様々な条件における感染拡大の推移の概要を確かめて今後の対策を考える参考にして頂けると幸いです。
新型コロナ感染シミュレーション.xlsx
以下、解説します。
【数理モデル】
数理モデルとしては、シンプルかつ基礎的なケルマック-マッケンドリックモデルを用いていました。このモデルの離散式は
S(t): 時刻tにおける未感染者数
I(t):時刻tにおける感染者数
R(t): 時刻tにおける治癒者数(感染後治癒した人。免疫を獲得してその後感染しない)
Δt: 時刻の間隔
として
I(t+Δt) = I(t)+λS(t)I(t)Δt-γI(t)Δt …①
S(t+Δt) = S(t)-λS(t)I(t)Δt …②
R(t+Δt) = R(t)+γI(t)Δt …③
となります。
それぞれの式と定数の意味は
λ:感染した人1人が単位時間当たりにまだ感染していない人1人に感染させる確率。
γ:感染した人が単位時間あたりに治癒する確率。平均感染期間をDとすると、期間Dにおいて全員が治癒するのでγI(t)D=I(t) 従って D=1/γ
①式の意味: t時点における感染者数は、新規感染者数であるλS(t)I(t)Δt人増加し、新規治癒者数であるγI(t)Δt人減少する。
②式の意味: t時点における未感染者数は、新規感染者であるλS(t)I(t)Δt人減少する。
③式の意味: t時点における治癒者数は、新規治癒者数であるγI(t)Δt人増加する。
これを微分方程式で表すと、
d I(t)/dt =λS(t)I(t) -γI(t) …①´
d S/dt = S(t)-λS(t)I(t) …②´
d R/dt = R(t)+γI(t) …③´
となります。
又基本再生産数R0は、S(0)=Nのときに平均治癒期間の間に感染させる人数なので
R0=λND
となります。
【ワークシート】
ワークシートは、上記①②③をΔt = 1日として単純に計算しました。入力はワークシートの
の黄色の部分([治癒期間(日)(D)][R0][重症化率][死亡率][人口(N)][感染者数(I)][治癒者数(R)]に其々適当な数字を入れて下さい。参考までに3月28日時点の東京都と全国の感染状況及び人口を表にしてあります。
お楽しみいただけると幸いです。
参考文献:
1.「Excelコンピューターシミュレーション」 三井和男 森北出版
2. 「伝染病流行の数理モデル」 稲葉寿
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