自民党の牧原秀樹議員が、
4月7日「衆議院法務委でも問題視しました。ウィシュマさんもご自身の弱られた様子を週刊誌を通じて公開されることを望むでしょうか?編集も無断であり裁判所も証拠開示に慎重にならざるを得ません。ウィシュマさん映像公開を問題視 斎藤法相「勝手に編集し提供」(共同通信)」
(https://twitter.com/hmakihara/status/1644195620041928705)
4月8日「そもそも弁護士は受託案件での任務遂行に全力をあげるべきです。それを入管法改正反対という「政治的意図」を持っている皆様、しかもある一定の政治信条を共有している方々が政治利用しようとしてないのか。懲戒請求対象になってもおかしくないと思います。」(https://twitter.com/hmakihara/status/1644455941172256768)
とツイートしました。これは妥当でしょうか?
  まずもって牧原議員は、ウィシュマさんの死の直前の様子を写した防犯ビデオ画像を公開することを「ウィシュマさんもご自身の弱られた様子を週刊誌を通じて公開されることを望むでしょうか?」と勝手にウィシュマさんの意思を決めつけていますが、亡くなられたウィシュマさんの御遺志を牧原議員が知る事は勿論できません。ご遺族が強く公開を求めているにも関わらずそれを否定するのは余りに不遜であると思います。
 次に「編集も無断」との事ですが、防犯ビデオはそもそも公開を予定して撮影されたものではなく、著作権法に定める「著作物」ではありません。防犯ビデオは全295時間もあり、そもそも国も、このうち5時間分だけを抜粋して証拠として提出しています。今回原告弁護団は、この映像から5分を抜粋して公開したのですが、それは余りにも当然のことで、これが「勝手な編集」だというなら、そもそも国が295時間のビデオのうち5時間だけを抜粋して提出した事も「勝手な編集」となります。この様な何の法的根拠もない事を、あたかも悪い事かのように言うのは、厳に慎むべき事だと思います。
 尚、原告弁護団に伺った所、「本件の証拠の提出は裁判所に促されてではあるものの国が任意に提出したもので、提出に際して国は、原告に対して、「公開しない」旨の誓約書の提出を求めたが、原告はこれを拒否し、裁判所も、まったく、誓約書の提出を促したりしていない。進行協議の場では、原告弁護団長から、被告国に『公開しないという誓約を求める根拠はないですよね?』と問うと、被告指定代理人は『要望です』と回答した。」との事です。
 最後に「政治的意図」をもって裁判の証拠を公開すると、「懲戒請求対象」になるかですが、弁護士は、訴訟の追行は勿論クライアントの意思を最大限尊重すべきですが、「任務遂行に全力をあげ」ればこそ、関係法令に理不尽を感ずれば、その改廃を望むものです。私は弁護士として医療訴訟を多く扱いますが、「障害児の賠償を健常児と同じにする立法をする」という「政治的意図」を持って、立法の実現という目的に「政治利用」する為に、勿論ご遺族の了解というかご遺族の積極的希望を受けて、証拠として提出された膨大なカルテの一部を抜粋して公開し、記者会見しようと考えていますが、ウィシュマさんのビデオの抜粋を公開する事が「懲戒請求対象」なら、私も「懲戒請求対象」となってしまいます。
 如何な言論の自由があるとはいえ、議院内閣制の日本において、与党の法務委員会の筆頭理事がこの様な発言を行う事は、弁護人の弁護活動を委縮させ、法務行政の公正性に対する信頼を失墜させるうえ、場合によっては、弁護人に対する不当な懲戒請求を煽りかねない極めて問題のあるものだと思います。牧原議員は弁護士資格もお持ちとの事ですので、ご自身のツイートこそ懲戒事由になりかねないものだと思います。


  • コメント (0)
  • トラックバック (0)
トラックバックURL :
http://www.election.ne.jp/tb.cgi/101083

エレログTOP | エレログとは | 運営会社 | 免責および著作権について | お知らせ

政治家ブログ”エレログ”地方議員版ができました。参加お申し込みはこちらから

政治家専門サイト ele-log 国政版 お申し込み 政治家専門サイト ele-log 地方版 お申し込み
国会議員、都道府県知事、市区町村長、都道府県議、市区町村議、および立候補予定者専用

Copyright by Promote committee of Online-Election.,2001-2007, all rights reserved.
ele-log and the ele-log logo are registered trademarks of
Promote committee of Online-Election