米山隆一の10年先のために

　本日投開票が行われた山口2区補欠選挙で、自民党は敗れました。全力で戦われた関係者の方々は本当にご苦労さまでした。

ただその努力は努力として、率直に言って今回の敗北は、予想されたものでした。私はその最大の原因は、言われているように単純に「道路特定財源と後期高齢者医療制度のダブルパンチが効いた」のではなく、「自民党が両制度と日本の将来像を示せなかったこと」にあると思います。

私自身が各地でミニ集会を開いている中で感じるのですが、道路特定財源や後期高齢者医療制度には確かに批判も多いのですが、一方で「道路を作り、維持する財源が必要である事」「高齢者の医療費をまかなう制度が必要である事」には、きちんと説明すれば、多くの方が理解を示して下さります。しかし、この「理解を示してくれる」事は、制度がこのままでいいと思っておられることを意味しません。「道路を造り、維持する必要があるのは分かるが、頻発する税金の無駄遣いは、なんとしても許せない。それをどうにかできないなら、官僚の無駄使いの為に税金を払うなんてごめんだ」「高齢者の医療費の膨張への対処が必要なのはわかるが、それがなぜ報道されているような悲惨な例を生むのか。それはやがては自分にも降りかかるのか？それならそんな制度は改めてほしい」が多くの方の意見であろうかと思います。私自身が考えても、これはきわめてまっとうな感覚です。今回の自民党の選挙広報は、制度の正当性を訴えるところで止まってしまっていて、この「まっとうな感覚」に真摯に答えるところに至っていなかった事を、正直否定できないと、私は思います。

暫定税率による財源の確保も、後期高齢者医療制度も、大枠として必要な制度であることは間違いありません。選挙で負けたからと言ってひるむことなく、必要であれば堂々と再可決を行い、制度を維持すべきだと、私は思います。しかし同時に、両制度が、多くの問題点を抱え、多くの改善策を必要としていることもまた、紛れもない事実であり、政権与党として、それらをどう改善しどう新しい制度を打ち立てていくのか、その未来像を提示する義務があることを、今回の選挙結果は突きつけています。無駄を省き、財政再建と道路整備を両立する形で一般財源化をどう進めるのか、各世代間で公平な医療費の負担と受益の関係をどう築くのか、自民党はそれらに対して、具体的で抜本的な改革案を示す時にきています。