身内の私が蒸し返す話でもないのですが、この頃何処に行ってもその話を聞かれますので、特に医療関係についての麻生総理の失言についてコメントいたします。
先ず先だっての「医師には社会的常識が欠落している人が多い」については、一応医者の身として「まあそう言う面もあるわな・・・」とニヤリとする面がなくもありません。ただそうは言っても、正直「政治家にも、官僚にも、社会的常識が欠落している人は多いしねぇ」と思いますし、突き詰めていくと、「若者には社会的常識が欠落している人が多い」「中年には社会的常識が欠落している人が多い」「高齢者には社会的常識が欠落している人が多い・・・」どころか「男性には社会的常識が欠落している人が多い」「女性には社会的常識が欠落している人が多い」だって、飲み屋で聞けば、結構多くの人が「まあそう言うところもあるかな」と思ってしまうのではないかと思います。
結局あるグループの常識を持って他のグループを断罪すれば、つねに「○○は社会的常識に欠ける人が多い」と言えてしまうわけですが、麻生総理の発言も、基本的にはこれと同レベルかと思います。
つい昨日の、「たらたら飲んで、食べて、何もしない人の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」についても、生活習慣病を予防する自助努力を保険制度上如何に取り組むかは近年良く議論さるホットな課題で、「言いたいことは分からないでもないなぁ」と思わないでもありません。
ただこれについても、ものすごく食べても太らない人と、ちょっと食べただけで太ってしまう人がいるように、自助努力の効果は個人差が極めて大きい上に、「自助努力」と言ったところでお金も時間もかかるわけで、結局の所「健康管理をやる時間もお金もあって、かつその効果が出やすい健康な人」からの意見に過ぎないと言うことになります。
麻生総理の「問題発言」は総じて、「一面では真実だけれど、別の立場からみれば別の見方もある」事を極端な言い方で断定してしまっているが故に「問題」となっている様に思われます。きわめて「言わずもがな」ではありますが、「『議員』であるときは自分が代表する集団、若しくは多数派の意見を表明すれば良いのかもしれませんが(そう言いきれるかどうかすら疑問ではありますが)、『総理大臣』になった以上は、自分と反対の意見を有する集団や、少数派にも気を配らなければならない」と言うことに尽きると思います。
自民党の勝利の為にというか、これ以上状況を悪化させない為に、大変生意気で恐縮ではありますが、総理の奮起を心より期待します(シニカルなまとめですみません・・・苦笑)。
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