米山隆一の10年先のために

　岩盤規制と、そこへ穴の開けることの是非が話題となっています。私は経済的事項については、総じて政府の事前規制による参入障壁は小さくし、明確なルールを設定したうえで、ルール順守の徹底と、ルール違反をした参加者に対する退場を含む罰則規定で運用すべきとの意見で、総論としては規制緩和に賛成です。

　一方で、現存する規制には大抵それなりに理由があるのであり、規制を撤廃する事それ自体が良いことであるとか、それ自体が目的であるとは全く思っていません。
　少々比喩的で恐縮ですが、岩盤規制は、その岩盤の下に、油田か、最低でも温泉が眠っており、そこに穴をあけることで原油や温泉が噴き出すから、お金がかかっても、多少危険があっても、収支を取る計画を立て、安全策を講じた上で穴をあける価値があるのであり、穴をあけても何も出てこないなら、岩盤は岩盤のままにしておく方が安くて安全に決まっています。

　話題となっている岩盤規制は、穴をあけた後に温泉が噴き出すどころか、まず地上から９６億円もの補助金を注入しなければならないと伺っています。
　岩盤に穴をあける事によって危険が生じないか、岩盤に穴をあける際の手続きに間違いがなかったかも勿論重要でしょうが、同時に今我々が論ずべきは、この岩盤の穴から、注入した９６億円以上の価値が出てくるのか、その合理的な目算があってそこに穴をあけたのかどうかでしょう。
　
　その合理的目算の存否を説明する責任は、当然ながらそこに穴をあけた人にあると、私は思います。