ニュースの感想
防衛庁前事務次官守屋氏に業者との不適切な付き合いが発覚し、明日証人喚問が行われます。事件の詳細が分からないので確かなことは言ってみようがないのですが、この件に関しては「何か不自然だな」と感じている方が多いと思います。
何百億と言う受注を受けて急成長した会社が提供していたものが「ゴルフだけ」と言うのも不自然ですし、「リスクを犯してまで、人目につくゴルフを、あれだけの回数行った」のも不自然です。「防衛事務次官を退職したとたんにそれが発覚した」のも不自然と言えば不自然でしょう(それは報道されているとおり、防衛商社側の事情なのかもしれませんが)。
あくまで推測に過ぎませんが、守屋氏は件の防衛商社との深い関係を築き、天下り先が少ない防衛省において、「優良天下り物件」を押さえることで省内に絶対的地位を築いた。商社側は守屋氏の差配による天下り(この商社は守屋氏以外に多数の防衛省OBを受け入れています)を受け入れることで守屋氏の省内の地位を向上させ、その力を利用することで後発商社としては異例とも言える大量の受注を実現した。ゴルフはその「天下り人事」決定の場であり、守屋氏のこの商社への強い影響力を省内に誇示するために「必要」なことであった。政治も、霞ヶ関をまとめる為に守屋氏が省内外で大きな権力を握ることを黙認し、かつそれを利用した。
しかし、守屋氏が小池大臣時代に独自の人事を押し通すことを試み、それが失敗した後も独断で自ら防衛省顧問に就くなど、政治を無視した動きを見せるに伴い、政治との距離は広がった。そして、守屋氏と関係の深い専務が某商社を離れて新会社を設立するに及んで、守屋氏自らが築いた「防衛省OB天下り網」と氏の間にも亀裂が生じ、いつの間にか守屋氏は、「年老いたリア王」となっていた。そして恐らくは守屋氏を見限った「現役防衛省・防衛省OB天下り網連合」からの内部リークによって、今回の事件が発覚した。
と言うシナリオを、想像したくはなります。
証人喚問で事態が明らかになることが望まれますが、返答するかしないかは守屋氏次第である以上、現実的には難しいでしょう。何より、省庁別独立人事に基づいた勧奨退職と天下りとに依拠した霞ヶ関のいびつな権力構造を整理しない限り、発覚するしないに関わらず、この手の事件・事態は形を変えて繰り返し発生するように思えます。現在完全に「棚上げ」状態になっていますが、「公務員制度改革」は次代の日本を作る上で、政治が全力を挙げて取り組まなければならない課題であると、私は思います。
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