子供の頃の私にとってクリスマスは、「御馳走の日」でした。当時はケーキを食べることはまだ日常的なことではなく、「ケーキが食べられる」のは特別な日に限られていました。クリスマスは「誕生日」とならんで「ケーキが食べられる特別な日」である上に、「鳥のもも焼き」と「シャンメリー(どこかのメーカーがシャンパンを模して子供向けに作った炭酸飲料)」まで飲める、まさに一年最大級の「御馳走の日」だったわけです。
こんな風に私とってクリスマスは宗教色ゼロの極めて現世的な日だったので、クリスマスをどう過ごすべきかと言う事について、現在に至るまでさしたるこだわりはありません。それでも、毎年クリスマスの夜には、何とはなしに厳かな気持ちになって、御馳走にはしゃいだ子供時代の家族の風景や、二十歳の頃に二人で一生懸命にクリスマス料理を作った光景を、思い出します。それらは場面や相手は違うけれど、ともかくも相手が好きで心から楽しかったと言う点では、共通しています。宗教と結びつかないクリスマスが、これほどに日本に受け入れられたのは、家族や、恋人や、友人といった自分が愛する様々な人達と、楽しい時間を分かち合える習慣だったからでしょう。
日本と、世界の全ての人が、自らの愛する全ての人と、幸福な時間を過ごせることを心から祈ります。
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