米山隆一の10年先のために

　表記のとおり、明日3月2日（日）に、「アジア・太平洋地域の医療保障制度」シンポジウムに、台湾セッションの発表者として出席します。詳細はこちらの添付文書シンポジウムのご案内.pdf をご覧になってください。

　因みに台湾セッションは、論文筆者であるPeter Wen-Hui Cheng (鄭文輝) 教授が出席できない為、翻訳者である私にお鉢が回ってきたもので、別段私が台湾の医療保険制度のエキスパートという訳ではありません。

　それでもこの発表の準備の過程で台湾の医療保険制度はそれなりに勉強しました。その内容はブログの範囲を超えるので詳述しませんが、何より印象に残ったのは、論文全編にあふれる「これから新しい国、新しい制度を作るんだ！」と言う心意気でした。論文中の「台湾は国民医療保険制度を作るにあたって日本の制度を大いに参考にしたが、最新のIT技術の導入や単一支払者制度の導入によって日本より進んだ制度を構築した」と言う教授言葉には、アジアの先進国日本への尊敬と同時に、これに追いつき追い越そうとする気概が感じられます。

　私たち日本人は、日本が世界有数の先進国であること、殊にアジア太平洋地域では、俗な言い方で「ダントツ」であることに、何の疑いも抱いていません。しかし、世界の各国、殊に今まで日本よりは後ろにいた多くの国が今、猛烈な勢いで日本を研究し、その失敗に学び、よりよいものを作ろうとしています。そしてその範囲は今までの「科学技術」「産業技術」から、医療福祉制度、経済産業政策、政治制度といった国の運営のあり方にも及んでいます。私たちが安閑と現状に満足していたら、追いかける側の優位をフルに活用して挑んでくる彼らに抜き去られる日は、そう遠くないでしょう。

　「後進畏るべし」、その言葉を胸に、よりよい日本を作っていきたいと、私は思います