本日衆議院で60日ルールを用いて、ガソリンに関する暫定税率等を定める租税特別措置法が再可決されました。これに関し、調度「匿名」さんからコメントをいただきましたので、それに対する解答の形で、私の考えるところを述べたいと思います。
「匿名」さんのコメントは以下の通りです。
コメント:道路のための財源とは分かりますが例えば日本が一家族とします。お父さんの給料は一定額です。そこから毎月、毎年の予定を立てお金を使い積み立てしますよね。官僚 政治家は無理に借金してまで全部しなければ成らないのですか?
国民(家庭)では崩壊しますね。
日本国は崩壊寸前と言うことです。
これに対する私の回答は以下のようになります。
「匿名」さん、コメント有り難うございます。「お父さんの給与は一定額で、それを積み立てている」例えはなかなか面白いので、これをより分かり易く「お父さん=日本太郎さん一家では、給与の一定額を家の増改築の為に積み立てている」としてみましょう(「道路」を「家」に置き換えています)。
さて、日本太郎さんは、「トヨタ」のような自動車メーカーに勤めているとしましょう。日本太郎さんの家では、戦後45年間毎年順調にお給料が増えつづけました。そこで日本太郎さんは、毎年積み立てたお金で、家を増改築してきました。増改築を請け負ったのは、日本太郎さんと同居している息子さん、「日本次郎」さん経営の「日本工務店」です。この45年間両家の間では「日本太郎さんが外で稼ぎ、日本次郎さんがそのお金でお互いが一緒に住む家をより良くする」という良い関係が続きました。ところが1990年のバブル崩壊以降この関係が一変します。日本太郎さんのお給料がピタリと増えなくなってしまったのです。それでもしばらくの間は、「我慢していればまたお給料が増えるようになるだろう」という思いがありましたし、「突然仕事がなくなったら日本工務店、ひいては日本次郎が困ってしまうだろう」という思いもありましたので、家の増改築は以前と同じペースで行われました。ところがふと気がついてみると、匿名さんが仰るとおり、日本太郎さんの家計は大赤字で借金がふくれあがっていました。その上日本太郎さん自身が年をとり、以前のように働けない上に、医療費もかかるようになりました。一方で日本次郎さんのほうでもお子さんの日本三郎君(日本太郎さんのお孫さん)が中学校に上がり、「個室がほしい」と訴え出しました。そんなこんなで、いままではあまり疑問も持たず毎年支払われてきた「増改築費」を今後どうするかについて、遂に両家で家族会議が行われている、というのが現在の状況かと思います。
ここで、「赤字なんだからともかく増改築費はゼロにする!」という主張にも、一理はあります。しかし悩ましい事に、日本工務店は日本太郎さんの息子、日本次郎さんが経営している上に、日本太郎さんはこの借金の保証人になっていたりします。突如増改築費をゼロにして日本工務店が倒産したら、日本太郎、日本次郎両家が共倒れになってしまいます。その上、階段の上り下りがつらくなってきた日本太郎さんの為にも、中学校に上がった日本三郎君が勉学に打ち込む為にも(本当にそうなるかどうかは三郎君次第ですが)、ある程度の増改築は避けがたいという事情もあります。
結論は多様でしょうが、私はこのような状況では、以下のような結論がもっとも妥当なではないかと考えます。
「日本工務店では既に今年分の資材を買い、人を雇ってしまっている。日本工務店に突如倒産されたら日本家が一家離散の危機に陥ってしまう。幸いにして日本太郎さんの借金は、今すぐ倒産するというレベルではない(この辺は異論もあろうかと思いますが)。ともかく今年は今まで通り仕事を発注しよう。でもその中身は、ちょっと考えよう。今までは、ひたすら家を大きくしてきたけれど、とりあえず家族のメンバーが増えることはしばらくないだろう。太郎さんが上がり降りしやすい階段を作ったり、三郎君が勉強に打ち込める部屋を作ることを優先しよう。それに、多少なりともお金を余らせて、太郎さんの医療費や、三郎君の教育費に備えよう。来年以降の日本工務店の業務内容は、一年かけてじっくり検討し、太郎さんの収入に頼らずとも収益が上がる体制を築こう。」
匿名さん、いかがでしょうか?
本日ガソリン税は再可決されましたが、同時に政府自民党は、来年度からの一般財源化を明確に打ち出しています。私は、この「一般財源化」が上に述べたような意味、必要な道路の整備はきちんと行うけれど、それは他にもある必要なもの、福祉や医療や教育や生活環境の整備との優先順位の比較を十分に行ってうえで為される事を意味すると、確信しています。そしてもし万が一そうでないということになったら、私自身が議席を得て、是が非でもそういう制度を作り上げたいと思っています。今回の再値上げでご迷惑をかける点は多々あると思うのですが、是非ご理解いただければと思います。
因みに日本太郎、日本次郎、日本三郎一家の未来について、私は、捕らぬ狸の皮算用的に、「次郎さんの妻桃子さんが、息子三郎君のIT技術の助けを借り、太郎さんの妻花子さんが作った手作り梅干しをインターネットで売り出したらこれが海外に大当たり、一家の収入は飛躍的に増えて借金はすっかり返済、一家は新たに広い庭を手に入れて、休日には楽しくバーベキューができるようになりました。そしてそのおかげか日本次郎家に第2子が生まれ、一家は再び増築を考え出しました。」みたいなハッピーエンドを期待したいのですが、匿名さん、こちらもいかがでしょうか(楽観的に過ぎますか?-苦笑)。
>ともかく今年は今まで通り仕事を発注しよう。でもその中身は、ちょっと考えよう。今までは、ひたすら家を大きくしてきたけれど、とりあえず家族のメンバーが増えることはしばらくないだろう。太郎さんが上がり降りしやすい階段を作ったり、三郎君が勉強に打ち込める部屋を作ることを優先しよう。それに、多少なりともお金を余らせて、太郎さんの医療費や、三郎君の教育費に備えよう。来年以降の日本工務店の業務内容は、一年かけてじっくり検討し、太郎さんの収入に頼らずとも収益が上がる体制を築こう。
問題を先送りにしているとしか見えないのは私だけでしょうか。
現在の日本家の状況ではその、「来年以降の日本工務店の業務内容は、一年かけてじっくり検討し」という姿勢が見えていません。上記でもおそらくと言っていらっしゃいますが「一般財源化」の部分がその「姿勢」となるのですが、ここのビジョンが明確でないので「先送り」と見えるのでは?あるいは明確に出来ないかも知れませんが、あわせて提案として議論を進めることは難しいのでしょうか?
物事に対処する為の議論は勿論大事ですが、有る程度の戦略、ビジョンを持って物事を進めていくことも必要と感じられます。どうしてもその場限りの言い訳に感じてしまいます。
ハッピーエンドは私も望む所ですが、ハッピーになる為に何をするのか?三郎さんがIT技術を身につけていく為に何をするのか?桃子さんは売れる梅干を作る為に何をするのか?も有る程度準備していなければ、本当に「取らぬ・・」にならざるを得ないと感じてしまいます。
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