ニュースの感想

民主党公約1 ~霞ヶ関改革~

  • 米山 隆一
  • at 2008/9/25 01:12:09

 22日、総裁選が行われ、麻生新総裁が誕生しました。麻生総裁は、総裁選中から、民間投資の誘導を柱とした景気対策を政策の柱とされていました。民間が投資しやすい環境を作ることは、現在の不景気に対応する為にも、又今後の日本経済の為にも是非必要な事です。明日にも開かれる国会で、是非補正予算としてその政策を実現していただきたいと思います。

 さて、之と時を同じくして、民主党では小沢党首が三選を決めました。小沢党首は、天下りを全面的に禁止し、霞ヶ関に政治家100人を送り込む霞ヶ関改革、高速道路の無料化、1人月額2万6千円(?)の子供手当の支給を柱とする子育て支援を、政策の柱としています。本稿では、先ずこの「霞ヶ関改革」について述べたいと思います(高速道路、少子化対策については稿を改めてコメントします)。

 先ず私はこの政策を見て、「お、小沢さん、やるな。まるで私の主張を取り入れて下さったみたいだ(苦笑)」と思ったくらいで、政策の方向性として、随分良い事を言っているように思います。制度疲労の極みに達している霞ヶ関改革は日本の最重要課題で、その際には、官僚に対する政治のコントロールの確立、天下り維持の為の税金の浪費の根絶は、不可欠で、麻生新総裁にも是非取り組んでいただきたいですし、私自身、国政に於いてなにがしかの影響力を行使できるようになったら、是非この問題を解決したいと思っています。

 こんな風に言うとまるで民主党の回し者みたいですが(苦笑)、そうは言ってもこれらの政策には、それなりの問題点があるように思えます。
私は現在の官僚制度の最大の問題点は、「現場を全く知らない人が現場を仕切る責任者になっている」事にあると思っています。大学が東大と京大の二つしかなかった明治時代なら、社会を仕切れる知識を持っているのは東大、京大法学部での官僚に限られていたでしょうし、彼らの知識で十分問題に対応できたでしょう。しかし現在は当時とは比較にならないほど社会が複雑化し、次々と起こる問題に対処するのに必要な知識と能力は飛躍的に増大しました。食品の安全に関する農水省の対応のまずさを見ても、医療制度改革における厚生労働省の迷走ぶりを見ても、社会保険庁のていたらくを見ても、もはや「官僚」がこの高度に専門化した現代社会に即応した仕組みを作り、そこで発生するトラブルに臨機応変に対応する能力を失いつつある事は明らかでしょう。
 ではそれは、霞ヶ関に政治家を送り込む事で解決するでしょうか?私はそうは思えません。残念ながら政治家は、私を含め実は官僚以上に世間知らずなうえに、同じ政党であっても10人いたら10人意見があって、その上人の意見を聞かないので、統一的に働く事が極めて困難であったりするからです(苦笑)。100人の政治家を送り込む事の結果は、実のところ「霞ヶ関大混乱」に過ぎないのではないかと、私は危惧します。本当に必要なのは、「能力の無い官僚は政治が責任を持って首を切り、能力のある民間人を、政治が責任を持って登用する」仕組みを作る事ではないでしょうか。
そしてこの制度を確立するなら、官僚の民間へ就職という意味での「天下りの全面禁止」は非現実的と言う事になります。官僚だって人間です。首を切られた後、働かないわけにはいきません。之を全面的に禁止する事は、法に引っかからない「公益法人」「業界団体」への再就職か、若しくは訳の分からないポストを作り上げての雇用の維持という抜け道作りが行われるだけでしょう。又一旦官僚になったが最後、その後の再就職は不可能となれば、民間からの人材の登用も極めて困難になってしまいます。
 天下りが問題なのは、「出身官庁への不当な影響力の行使」や「天下りの維持の為の税金の浪費」が行われるからであって、之が防げるなら、例えば食品安全のエキスパートが農水省で働き、あるプロジェクトが終わったら又食品安全の民間会社に就職する事それ自体は、問題ないはずです。必要なのは、「天下りの全面禁止」ではなく、「民間への再就職等意味での天下りそれ自体は許容した上で、天下りを利用した不当な影響力の行使や、税金の無駄遣いは不可能な制度を確立すると伴に(例えば天下りした人物の出身官庁との接触禁止や、天下り役員がいる法人への補助金支出の禁止等)、違反があった場合は厳罰で対処する」と言う「天下りのコントロール」だと、私は考えます。

 長々と自説を述べてきましたが、実のところ私は、小沢さんは本当はこんな事は分かった上で、先ずは選挙戦術として、「政治家100人」「天下り全面禁止」という分かりやすいスローガンを掲げているのではないかと、推測しています(小沢さんほど多くの政治家を取り仕切ってきた人が、1官庁に10人からの政治家がいる事が、どれほどの悪夢をもたらすか分からないわけはないでしょう)。勿論それも、「戦法」としてはありなのかもしれません。しかしそんな「戦法」も一旦口にしたら全く実行しないわけにはいかなくなって国政に取り返しのつかない禍根を残す可能性がありますし、何より国民を欺く事になるわけですから、責任ある政治家が為すべき手だとは私には思えません。

 「霞ヶ関改革」この日本の最重要課題について、私は現在自らが有する知識でベストと思う案を正直に訴え、多くの人伴に知恵をかり、常によりよい案を探していきたいと思います。


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コメント

そのナンバースクール、数え方間違ってます。

  • Posted by 通りすがり
  • at 2008/09/27 06:26:08

通りすがりさん、コメント有り難うございます。ごもっともでございます。興味のある方は、Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AB

をご参照下さい。と言うことで、訂正いたしました。

  • Posted by 米山 隆一
  • at 2008/10/14 00:57:11

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