米山隆一の10年先のために

　コメント欄で、「noriyuki」さんと「小千谷の暴れん棒」さんの双方から現在の自民党県連のあり方について議論が提起されていますので、私の意見を述べさせていただこうと思います。

　「小千谷の暴れん棒」さんの言うとおり、私が政治の世界に足を踏み入れ、曲がりなりにも player の1人となれたのは間違いなく自民党のお陰ですし、今回の選挙のみならず、この4年間、県議を初めとする自民党の皆さんには本当にお世話になりました。現在自民党に在籍している方々のみならず、今まで営々と地域と日本を作ってきた自民党に私は心から感謝していますし、その一員として誇りを持っています。

　しかしそれと同時に、「noriyuki」さんの言うように、「政権交代」によって一変した政治状況に自民党、就中地方組織が十分対応していないように見えることに、私は強い危機感を抱いています。「中央と地方のパイプ役を果たす」それは政権与党であった今まで50年間は大いに意味のある台詞でしたが、陳情が与党民主党の幹事長室経由に一本化されようとし、野党自民党経由の陳情は不可能ではないまでも極めて実現困難になっている今、殆ど意味の無い言葉となっています。もし仮に次の参議院選挙において、自民党候補のキャッチフレーズが「中央と地方をつなぐ！」であったら、間違いなくそれは有権者の失笑を買うでしょう。
　又候補者選びについても、今まで自民党は正直言ってある種「調整力に長けた無難な候補」を選んできました。それは与党自民党を中心とする政治体制が盤石で、政治家の仕事の中心が「関係者の利害調整」であった今までは、十分意味のあることでした。しかし今、「利害を調整する」のは政権にいる与党民主党の仕事であって、自民党議員には調整すべき利害など、有りません。野党自民党の議員に求められるのは、「隠されていた利害」を自らの力で発掘し、それを分かりやすく有権者に示して説得する、「突破力のある候補」です。好き嫌いはともかく、民主党が菅副総理や長妻厚労大臣の突破力ある攻撃を10年間繰り返すことによって政権を奪取したことを、私達は率直に認めるべきです。

　時代は変わりました。自民党を取り巻く環境は、正に180度逆になりました。これまでの50年間自民党がやってきたこと、作ってきたこと、その大いなる価値は、この環境の変化によって変わる物では勿論ありません。しかし今を生きる私達には、自らに求められる役割が180度変わったことをしっかりと認識し、成功体験を捨て、新たな道に歩み出さなければ、明日は来ません。選挙敗戦直後に私はこのブログの中で、「沈み行く船の中で、一等航海士達は、正しい舵取りをすることよりも船長を褒め称えることに熱心だった」と書きました。この論評は私としては予想外の反響を呼びました。選挙後の候補の言としては極めて不適切でしたし、関係者の方々に不快の念を抱かせたことを、私は心から謝罪したいと思います。しかし私は、敢えてもう一度、この言を繰り返したいと思います。「今、船は沈みかけている。船を取り巻く環境は、一変した。今まで成功していた航海の方法は、もう、通用しない。お互い過去の栄光を振り捨て、正しい梶は一体どう切るべきなのか、真剣に考え、迅速に実行しよう。互いを称え合って現実から目を背けていたら、私達は本当に沈没する。今、私達が変わろう。航海の方法を変えよう。それが再起への唯一の道だ」。