ニュースの感想
私はアメリカで3年半ほど仕事をしたことがあります。仕事が興味深かったのは勿論ですが、彼らの文化・私生活も、とても興味深いものでした。
中でも、同僚の男性達が、本人若しくは人前で、奥さんや彼女といった相手を評する場合に、ほぼ必ず ”You are (She is) the most beautiful in the world”に近い言葉を使っていたことはとても印象的でした (勿論女性から男性へもあてはまるのですが、私は男性ですので、男性から女性の方向の方が強く印象に残っています)。
勿論、世の中にはペネロペ クルスも、ジェニファー ロペスもいます。自分が世界一でないことは、いわれている女性たち本人が一番よく知っているでしょう。また男同士の席では、勿論彼らも、パートナー以外の女性の容姿の論評に花を咲かせ、時にやんちゃな武勇談を語るものもいました。こちらが「真実」であるというのなら、論理的には、”You are the most beautiful in the world.”は「嘘」ということになります。
しかし、「あなたが一番だ。」と伝えられて嬉しくない人はいません。それは「嘘」ではなく、「優しさ」であり「相手に対する敬意」であって、日本人が学ぶべき、美しい文化だと私は思います。
今回の一件も、これに近いのではないでしょうか。
勿論私は、戦争を経験したことはありません。しかし、昨日まで元気だった戦友が、今日は片腕をもがれて呻き、明日自分がそうならないためには、何の恨みもない敵兵の頭を誰よりも早くふっ飛ばさなければならないであろう戦場が、とてつもない修羅場であろうことは、容易に想像が出来ます。その修羅場に、明日、出撃することを命じられた兵士が、今夜一晩だけは、愛する人の胸で眠りたい、それがかなわぬのなら、せめて一夜の恋に身を委ねたい、そう思う心境は、理解できます。しかしそれは黙って行うべきことで、それを必要な制度と公言してしまったら、同じく極限的な状況で、必ずしも望まずして一夜の恋に応じてくれている相手に対して、そして何より、母国で、一心に無事を祈ってくれている妻や恋人に対して、”You are the most beautiful in the world.”と言う機会を、優しさと敬意を、奪うことになります。
たとえ戦場であっても、たとえ明日死ぬとしても、たとえ生き残るために明日人を殺さなければならないとしても、せめて愛する相手に対する優しさと敬意を忘れない人間でありたいと、私は思います。
戦争と平和、生と死、男性と女性、今回の一件は、きわめて多くの要素が絡む、非常にデリケートな問題です。その答えを探すのは、文学者と歴史家の仕事であって、政治家がなすべき仕事ではありません。政治家は、虚心に、あるべき日本の未来とその実現を競い合うべきだと、私は思います。
少々綺麗ごとなご意見ですが、この夏のナンバーワンの米山さんへ”Bon Voyage!
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