遅ればせながら、私が演説していた内容です。ご一読いただけると幸いです。
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皆さんこんにちは。本日は、安倍ノミクスについて、お話しさせてください。
安倍ノミクス、好調です。私はこれは率直に評価したい。今まで下を向いていた国民が上を向いて、下降する一方だった経済指標が良くなったんですから、良いことじゃないですか、これを否定するのは、違うでしょう。
しかしだからこそ私は申し上げたい。安倍ノミクスは、長くは続けられません。安倍ノミクス第一の矢、大胆な金融緩和、これは日銀がお札をするだけですから、いかようにもできます。しかし第二の矢、機動的な財政出動は、要するに公共事業のことです。国にお金があればずっとやることも可能でしょうが、今、日本にあるのは、1000兆円の借金です。長い間財政出動をすることは、不可能です。
だからこそ、その次に、私たち自身の力で景気を回復することが必要なのですが、そのために必要なことが、私は二つあると思っています。一つは、規制緩和による成長戦略、もう一つは、働く方の権利の実現による分配戦略です。
今回はこの、「分配戦略」の方を、話させていただきます。
「分配戦略」がなぜ重要か。それは、それが、社会全体の需要を向上させ、景気を拡大させるのに必須だからです。規制緩和によって企業が挙げた収益が、適正に、働く皆さんに分配されてこそ、つまりは皆さんの給与が上がってこそ、日本の景気は拡大します。
その為には何が必要か。安倍総理は、経団連の社長さん達に、給与を上げるように「依頼」しています。しかし、「依頼」では、実行されるかどうか全く分かりません。それは政治とはとはいえません。政治は実行力がある手段なのですから、是非、実行される対策を、講じなければなりません。
皆さんの給与を上げる、実効性のある、とてもいい方法が、あります。それは、「企業に残業代を全額払わせる。」ことです。ここを歩いている多くの方が、「残業代を全額払ってもらったら俺の給与は1割2割簡単に上がる。」と思っておられるでしょうし、中には、「倍になる。」と言う人までいるでしょう。
そもそも残業代は、現時点で、全額払わなければなりません。未払いは法律違反です。
なのになぜ、今の日本では残業代未払いが放置されているか。それは政府が本腰を入れてこの問題を取り締まらないからです。
私は弁護士ですから残業代未払い訴訟を請け負うことがありますが、やれば100%勝です。しかし、訴訟をされる方は、そう多いわけではありません。多くの方は、行政に相談するにとどまります。ところが行政がそれを放置するから、企業としては残業代未払いはやったもの勝ちになります。
そしてこれを放置していることが、更には「残業代未払い競争」ついには「ブラック企業」を生んでいます。私は経営者をあげつらう気持ちはありません。残業代を本当は払いたい社長さんもたくさんおられると思います。しかし、先ほど述べたとおり、「未払いをやったもの勝ち」になると、自分だけこれをしなければ競争に負けてしまうから、どの企業もやらざるを得ないということになります。そしてついには、某政党の候補者が会長を務めておられたようなブラック企業が、勝組みになってしまうという事態が生じます。
ですから私はこれを、「いっせいのせ」で止めさせるべきだと、申し上げたいのです。
残業代の未払いをやめさせるべき理由は、「給与をあげさせる。」「ブラック企業を根絶する。」以外にもう一つあります。残業代未払いは、実は、労働単価を下げ、日本全体の賃金量を減らすことで、「賃金デフレ」の原因となっています。安倍ノミクスは今、物価を上げることばかりに熱中していますが、賃金はGDPの大きな要素を占めます。賃金デフレを放置して、物価だけを挙げようとするのは、片手落ちだと言えます。
「残業代を必ず払わせる」ことには、更にたくさんの利点があります。
最大の利点は、「実行可能」なことでしょう。「最低賃金を1000円にする。」というような逃げ場のない案では、中小の会社の中には、即座につぶれるところも出てきます。しかし「残業代を必ず払わせる」場合は、払えない企業は、仕事を効率化して「残業をさせない。」と言う対策を打つことが出来ます。実は日本の企業は、社員の長時間労働に頼って、労働生産性が国際的に低いと言われています。「残業代を必ず払わせる」ことによって職場が効率化することは、日本の成長力を高めることになります。勿論効率化するための機械を買えない、投資が出来ないという会社もあるでしょうが、そこは国がサポートすることが出来ます。そして、これによって、働く方が早く帰ることが出来るようになったら、賃金は増えないかもしれませんが、家族で、自分で楽しむ時間が増えます。それ自体良いことでしょうが、それはさらに国全体の消費を拡大させるという効果を持ちますし、更には、家庭教育、地域教育にも資するという副産物も生みます。そして、そうやって一人の人の長時間労働がなくなれば、それは新たな雇用を生むことにもつながります。
この様にたくさんの利点がある「働く方の権利を実現することによる分配戦略」を、私はぜひ実行したいと思います。
私は、私たち日本維新の会は、「しがらみのない」という言葉をよく使います。それは、特定の団体に、組することなく、「正しいことを正しくやる」と言うことです。やる気のある企業には、既成の枠組みに気兼ねすることなく、規制緩和して、収益の機会を、得てもらいます。しかしそれと同時に、企業にも気兼ねすることなく、ルール通りに働く方々の権利を実現していただき、残業代を全額払って頂き、働く皆さんに適正に企業の収益が分配される仕組みを作ります。それが結局は、日本の労働環境を適正化し、職場の生産性を上げ、雇用を増やし、消費を拡大して景気を改善させ、企業にとってもプラスになるからです。
働く皆さんの権利を実現して、給与が上がって、豊かさを実感できる社会を創るために、米山隆一にご支持ご声援をいただけますことを心よりお願いして、私の街頭からのご挨拶とさせていただきます。
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