米山隆一の10年先のために

　政府が消費税を5％からから8％に3％上げると同時に、2％分に相当する5兆円分について、経済対策を実行する方向で調整していると報じられています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130913-00000001-mai-pol

消費増税は、そもそも「みんなが同じように使う福祉のお金は、みんなが同じように負担すべき。」ということで決められたはずです。これに対して経済対策は、どれほどうまく設計しても「一部の対象者」にしか届きません。ことにそれが従来型の公共事業になるのであれば、基本的には、公共事業を直接受注する建設会社にしか届かないといっても過言ではないでしょう。当然それによって達成できる景気浮揚効果は限られたものになります。

 「消費税という形でみんなが負担したお金を、経済対策の対象になる一部の人のみに配る。」ことには、公平の観点からも、景気対策として効果が薄いことからも、反対します。

ひたすら同じことを言って恐縮ですが、「景気対策と財政再建」という、相反する目的を両立するには、極めて当たり前に、政府支出に頼らず民間の力による成長を実現するための規制緩和と、可能な限り増税に頼らずに財政再建するための政府支出の削減が不可欠です。にもかかわらず、政府が、痛みを伴う規制緩和にも政府支出の削減にも及び腰で、世論もこれをすっかり忘れてしまっているように見えることに、私は強い危惧を感じます。

　オリンピックの高揚感のままにひたすらインフラ建設にまい進すれば経済が成長して万事解決するという夢に浸ることなく、痛みがあっても地道な努力を続けることこそが、今の日本にもっとも必要であることを、繰り返し申し上げたいと思います。