活動報告
ご存知の方はご存知だと思うのですが、私は今、維新の党の大阪事務局長島松氏、維新の党の執行部であると主張する東徹氏、馬場伸幸氏に対し、党員名簿と銀行通帳、届出印の返還を求める民事訴訟を担当しています。
この訴訟について、半可通な方々がしたり顔で、「政党の内部だから裁判所は結論を出さない。事態は膠着する。」という、民事訴訟のイロハを無視した解説をしておりますので、多少技術的になりますが、一応弁護士的に反論・解説しておこうと思います。
民事訴訟は、一般に思われているのとは異なり、立証すべき要証事実について、「双方証拠がなく双方立証できない。」ことが多々あります。これをそのままにしてしまっては、結論が出ませんから、民事訴訟では、「立証責任」というものが決められており、ある要証事実について、立証責任を負う側が立証できなかったら、その事実はないものとして扱うというルールがあります。
その観点から、この訴訟を見ると、どうなるでしょうか?
まず 名簿、通帳、印鑑のいずれも「維新の党」の所有物であることに異論のある人はいません。では「維新の党」として原告になっている私は、何を立証すれば、これを取り戻せるでしょうか?それはたった一つ(正確にはほかにもありますが大雑把には)、「所有者(維新の党)でない者(島松、東、馬場氏)が占有している。」の一事だけです。私がたったこれだけ立証すれば、裁判所は、所有者でない占有者(島松、東、馬場氏)に、「所有者に返還せよ。」との判決を下さざるを得ません。
所有者である維新の党の返還請求にも拘わらず、所有者でない島松、東、馬場氏(彼ら個人が名簿、通帳、印鑑の所有者であることはありえません)が返還を拒んでいる現状において、その立証は極めて容易というか、ほとんど自明です。
では、島松、東、馬場氏に何の対抗手段も無いかというと、そうではありません。彼らが自らの「占有権原」を立証できれば、勿論彼らの占有は合法であり、返還の必要はないということになります。従って彼らは、散々繰り返された「橋下とんでもロジック」を用いて、自分達が維新の党の正統な執行部であり、正当な占有権原を有することを主張してくるでしょう。
そうなったら政党内部のことは裁判所が判断しないから、結論は出ない、と思いますか?
違います。
ここで先ほど説明した「立証責任」が重要な役割を果たすことになります。所有者でない占有者の占有権原の立証責任は、占有者が負います。つまり、島松、東、馬場氏が、「自らが正統な執行部だと証明できない限り」、彼らの占有権原はないものとして判断されるのです。従って、裁判所が、どちらの執行部が正統かの判断を『しなければ』、この裁判は原告であるこちらが勝つ、ということになるわけです。
要するにこの訴訟は、島松、東、馬場氏が、橋下とんでもロジックを駆使して裁判所を説得し、最終的に裁判所が、政党内部の問題に対し、「橋下とんでもロジックは誠に妥当であり、馬場氏が維新の党の正統な代表である。」というぶっ飛びものの「積極的判断をしない限り」、原告が勝つことになるのであって、私は、非常に高い確率で、この裁判はこちらが勝つだろうと予想しています(外れたら恐縮ですが。)
一見イーブンに見える存続執行部と、なんちゃって執行部の間で、何でこれほどに立場が違うのか、それはひとえに存続執行部が原告所有者、なんちゃって執行部が被告占有者であるからに外なりません。ではなんちゃって執行部が原告となってこちらを訴えればいいじゃないかと思うかもしれませんが、残念ながら登記されている法人の原告として訴訟を提起するためには、資格証明と呼ばれる「代表者事項証明書」-すなわち登記が必要です。現在維新の党の法人登記に「代表松野頼久」とある以上、なんちゃって執行部は、維新の党として原告となることはできません。つまり、この勝負は、どこまで行っても登記のあるこちらが圧倒的に有利であるということです。
結論として勝つのはこちらであることに私は強い自信をもっていますが、一方で、「時間」という観点では、決して思う通りにならないことは認めざるを得ません。しかし見方を変えるならこれは、橋下氏らなんちゃって執行部は、訴訟をしたらほぼ間違いなく負けるにもかかわらず、ただ時間を稼いで嫌がらせをしているということであり、政治を担おうとする人物・政党として、到底許容されるべきものではないと、私は思います。
弁護士として訴訟は淡々と、しかし着実に進めますが、橋下氏らなんちゃって執行部の法秩序を無視した嫌がらせには、維新の党の一員として、維新の党新潟県総支部代表代行として、毅然として政治的非難を展開し続けたいと思います。
本文中に何度か『占有権原』とありますが、これは『占有権限』の間違いではないでしょうか?(もし、私の感違いでしたらすみません)
たまたまブログを拝見した者さん、コメントありがとうございます。
これは法律用語で何かをする根拠となる権利原因を「権原」と言います。「権限」は似ていますが、組織内の権能として与えられたものなので、イメージとしては、権原(広い権利)>権限(組織内の権能)という感じかと思います。
応援しています。
この件は橋下側の一方的な不法行為に見えるのにマスコミは泥仕合のように報じてどっちもどっちという印象を振り撒いていてとても不快です。
かつての仲間にひどい言葉を浴びせて中傷する人物をそれでも支持する人がいるのも驚きです。
時間という観点では思い通りにならないとありますが、どのくらい時間がかかると予想されていますか?
維新の党馬場執行部「なるもの」、に関する質問です。維新の党が抱える5億円の借金(5月住民投票の際のTV広告費等)、党の名義で借金するにせよ、【連帯保証人】として代表なり幹事長なりが(自民党ですら)必要だった、という報道を記憶しています。
さて、馬場執行部が正当な執行部だ、と主張するなら、当然、この債務の連帯保証人の責任すら引き受けるべきですが、現状どうなっているのですか?
勿論、彼らにそれだけの覚悟とカネがあるだなんて、自分は全く信じませんが(笑)
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