私はその是非はともかく、さもありなんと思うところはあります。災害時に先行きの不透明な話をするのは恐縮ですが、今日本の経済・財政は熊本地震によって大きな岐路に立たされているからです。
そもそもアベノミクスは、家計と民間企業に資金の余剰があることを前提として、大規模な金融緩和によるインフレ期待で、その余剰資金を使わせるための政策でした。
しかしここにきて、日本は東北大震災からの復旧、オリンピックのための整備に加えて、熊本地震の復旧という3つの荷物を同時に背負うことになります。どこをどう見ても、資金は不足します。その上九州は日本の生産基地になっており、日本はその生産力の何割かを失うことになります。その結果訪れるのは、深刻な資金不足と供給力不足です。
これによって次に起こりうるのは、物不足に起因するインフレです。政府が3年間必死の努力をして達成できなかったインフレが、災害によって達成されかねないのは皮肉の一言に尽きますが、資金余剰を前提としたアベノミクスでは、インフレの結果即時に余剰資金が投資に回され、生産力が向上することで、インフレは過度に至らずコントロールされるはずでした。
しかしその余剰資金がない状況でインフレが生じたらどうなるか、次に発生するのは物価高による需要減、そして需要減による不景気です。つまり今日本は、物価上昇と不景気の同時進行というスタグフレーションの到来を本気で危惧しなければならない状況にあると考えられることになります。
一方で政府は、このスタグフレーション懸念に対する対策、そしてそれ以前に上記に上げた3つの復興・整備のために大量の資金を必要とします。今までは、民間に資金余剰があり、かつデフレ状況であることを前提に、政府は国債を大量に発行し、市中で消化したのち、日銀が買い上げることが可能でした。しかし、最早民間の資金余剰があてにならず、既に日銀の金庫に、GDPの6割強、330兆円もの国債が積みあがっている(日銀の資産の8割)状況で、これ以上のペースで国債を発行するのは極めて危険です。
かといって金融緩和を行おうにも、既にアベノミクス3年間の金融緩和で市場には資金がだぶだぶに供給されており、日銀の資産は何とGDPの76%380兆円に達しています。これはつまり、日銀以下各金融機関がオーバーレンディングといえる状況になっている可能性があるということであり、これ以上、合理的貸し付けが困難であることは、マイナス金利政策がほとんど全く功を奏していないことからも明らかでしょう。可能な限り回避すべきことですが、とはいってもどうしても幾ばくかは発生するであろう震災関連の事業破綻による貸し倒れリスクを考えても、また、マイナス金利による収益悪化を考えても、日銀・金融機関が、これ以上の貸し出し・資産の増加を行うことには大きなリスクが伴います。
つまり、この震災によって、アベノミクスと日本経済は、静かに、しかし非常に脱出困難な隘路に押し込まれている可能性があるのです。
そして本来その隘路から脱出するために必須の道具であったはずの財政支出余力、金融緩和余力は、アベノミクス3年間の空費によって、おそらく日本から失われています。
その政府が頼る最後の頼みの綱が消費税であり、それ故に、この状況下で安倍首相も菅官房長官も、消費税増税延期を明確に打ちだせずにいるのではないかと私は思います。
私は、この震災は、おそらく、インフレによって余剰資金を利用するという政策としてのアベノミクスを、静かに終わらせるものと思います。政府はアベノミクスを、ひっそりと、余剰資金不足と生産力不足によるスタグフレーション回避の対策に転換していくでしょう。そしておそらくその費用は、アベノミクス3年間の空費の代償として、国民が消費税によって負担することになります。
震災には国民一丸となって当たるべきですが、しかし事態が落ち着いたとき、政府与党にその責任を問い、マネーゲームに頼るアベノミクスではなく、国民生活と教育福祉の向上で日本の生産力を上げる経済政策を世に問う時が来ると私は思います。
米山さんの仰る通りだと思います。
いつも気の利いたコメントが出来ず、申し訳ございません。
・震源の浅さの脅威
是非 調べてみてください。
新しく誕生した民進党 米山氏 初め有能な人材をフル活用して国難を乗り切る起爆剤になって欲しい。
理解不能です。
アベノミクス失敗の原因ははっきりしています。金融政策偏重と財政政策の欠如です。前者では団塊世代の大量退職による潜在成長力の高騰を見落としたために新規マネーが市場に回らず、日銀当座預金に三月時点で220兆円積みあがったこと、後者では社会保障関連支出を削減し、消費増税のインパクトとともに需要を押し込めたことです。これにより企業の設備投資は起きず内部留保が330兆円とも340兆円とも言われるほどに貯まりに貯まっていることです。
そこで九州地方の大災害は新規の大財政需要の発生とも言えます。あくまでも景気の観点からです。政府は、企業の内部留保や租税回避マネー、高額資産保有者から徴税すべきです。消費増税は需要を一層冷やすだけで悲壮な生活者の拡大再生産につながります。また、国債の新規発行に頼る場合にはURなど行政改革にもこの際手を付けるべきです。
そうすれば生活者に幸福感がもどり消費は上向き生活向上に意欲が湧いてくるでしょう。善の循環社会になれると思うのですが。ご参考までに。
追伸 消費税に関してですが、目先の増税をストップすればいいではなく、税そのものが需要低迷の伏線になっているので3%程度が国民が抵抗感なく受け入れられるボーダーラインと思ってます。
具体的に、今の野党が政権を取った場合、
あべのみくすと異なった、どういった、
経済政策を打ち出すのですか、
そしてそれは明らかに国民生活が豊かになる案ですか
舛添さんについて一言お願いします
相変わらず安部総理、消費増税はるか先に延ばしてもアベノミクスの盲進は止めないようです。失敗の責任取るのが怖いのですね。もう終わってるのに。
国債買い上げで増刷した札束は大部分は、行き場がなく日銀当座預金に積み上がっているから収拾策もあろうかというものの、円安株高を見込んで放出された年金や郵貯マネーは水浸しですね。どうするんでしょう? これから外国勢が本格的に売ってその後は円安株安の時代になるんでしょうか。宴の終わりはハイパーインフレで閉めかな。月の丸さも今宵かぎりか・・・ ウソツキ総理が悪いのか、国民がアホなのか。マイナス金利にいたっては政策の方向が真逆じゃないの? 2パーセントを目指すんじゃなかったのかい?
異次元金融緩和については、ノーベル賞の、スティグリッツ先生もクルーグマン先生もそして日銀の中曽副総裁も誤処方箋だったことを認めておられます。団塊世代の退場による就業人口の減少で潜在成長力は既に伸びしろがなくイノベーションも充てにならない中で2パーセント成長を遂げるには赤字国債しかない、つまり財政政策しかないと岡田代表も言われましたね。だけどその前にやることあるでしょう。パナマ逃避マネー、行政の外郭団体、企業内部留保、高額資産保有者。
ダブルはなかったけど、総選挙は近くにありその中での今回選挙だと思っています。TPP、安保法案おかしくないか!(ポスター) よかったです。同感です。
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