政府の財源を「税金」で確保する場合と、「国債」で確保する場合の違いを分かりやすくする為に、「Aさん、Bさん、Cさんの3人が住む3人の村」で村役場の財源を「年貢(税金)」で確保した場合と、「村債(国債)」で確保した場合に、それぞれ何が起こるか、説明したいと思います。
【設定】「3人の村」には2020年現在、Aさん、Bさん、Cさんが住んでいます。Aさんは年に米2俵、Bさんは米5俵、Cさんは米10俵を収穫しています。この村で生活するのには最低年3俵のお米が必要です。と同時にこの村の水路を管理し獣や外敵から村を守っていくためには最低でも3人が必要で、誰かが1人でもいなくなってしまうと全員がお米を作れなくなってしまいます。その為「村役場」は、「年貢(税金)」若しくは「村債(国債)」で財源を確保して、Aさん、Bさん、Cさん全員が生活できるようにしなければなりません。
(1)
【税金の場合】
①2020年:
「X村役場」はCさんから税金として米1俵を徴収し、Aさんに最も大変な水路管理をやってもらう報酬として年1俵を渡すことにしました。Aさんはこれで生活でき、Cさんも水路管理を任せた上で米9俵が残るので満足しています。尚Cさんの手元には「2020年 1俵 年貢受領書」と記載された「年貢受領書」が手渡されました。
②2021年~:
2021年以降もCさんは税金を1俵収め続け、Aさんは水路管理で1俵貰い続けました。③2025年
特に変わったことは起こりませんでした。
(2)
【村債(国債)の場合】
①2020年:
「X村役場」はCさんから「5年後に米2俵を返す」という内容の「村債」を米1俵で買ってもらい、Aさんに最も大変な水路管理をやってもらう報酬として年1俵を渡すことにしました。Aさんはこれで生活でき、Cさんも水路管理を任せた上で米9俵が残る上に、5年後には2俵返ってくるという事なので大満足しています。尚Cさんの手元には「2025年米2俵返還」と記載された「5年村債証券」が手渡されました。
②2021年~24年:
2021年以降もCは「5年村債」を1俵分買い続け、Aさんは水路管理で1俵貰い続けました。
③2025年
2025年、村役場は「はた」と困りました。ついにCさんに米2俵を返さなければならない時が来たからです。村役場の職員は、兎も角聞いてみようという事で、Aさんの所に行って尋ねました。
「Aさん、今年からCさんに米2俵を返さなければなりません。税金として米2俵貰っていいですか?」。
Aさんは即座に答えました。
「とんでもない!そんなことをされたら飢え死にしてしまう。絶対に反対だ!とるならお米のあるBさんか、Cさんからとってくれ!」
村役場の職員は仕方なくBさんの下に行って尋ねました。
「Bさん、今年からCさんに米2俵を返さなければなりません。税金として米3俵貰っていいですか?」
Bさんは即座に答えました。
「とんでもない!そんなことをされたら生活ギリギリだ!絶対に反対だ!とるなら今まで村役場からお米を貰って来たAさんか、お米のあるCさんからとってくれ!」
村役場の職員は、途方に暮れてしまいました。
そこで村役場の職員は、仕方なくCさんの下に行って尋ねました。
「Cさん、お米を返すことはできません。返さなくていいですか?」
Cさんは即座に答えました。
「何だって!そんなことは許せない!俺の手元には5年村債が10俵分もある。これが全部ゼロになるなんてありえない!そんな事なら今後二度と村債は買わない!絶対反対だ!」
村役場の職員は困ってしまいました。今年Cさんに2俵の米を返さなければならないのは勿論ですが、更にAさんに仕事を発注する1俵の米も必要です。村役場の職員はおずおずと尋ねました。
「すみません、大変申し訳ないのですが、今年は5年村債を3俵買ってくれませんか?そのうちの2俵で、今年の村債をお返しします…。買っていただいた5年村債は、5年後には6俵になるんですよ。」
Cさんは、3俵も村債を買うのは躊躇しましたが、5年後には6俵分になると聞いて、思い直し、5年村債を3俵分買う事にしました。
④2026年~29年
2021年以降もCは「5年村債」を3俵分買い続け、村役場はそのうち2俵をCさんに返し、1俵をAさんに払い、Aさんは水路管理で1俵貰い続けました。
⑤2030年
対に村役場の職員が恐れていた2030年がやってきました。今年からはCさんに毎年6俵のお米を返さなければなりません。それにCさんの手元には、30俵分もの5年村債があります。村で1年にとれるお米は17俵ですからその倍です。
村役場の職員は、兎も角聞いてみようという事で、Aさんの所に行って尋ねました。
「Aさん、今年からCさんに米6俵を返さなければなりません。税金として米6俵貰っていいですか?」。
Aさんは即座に答えました。
「とんでもない!うちがそんなの払えっこないじゃないか!絶対に反対だ!とるならお米のあるBさんか、Cさんからとってくれ!」
村役場の職員は仕方なくBさんの下に行って尋ねました。
「Bさん、今年からCさんに米6俵を返さなければなりません。税金として米6俵貰っていいですか?」
Bさんは即座に答えました。
「とんでもない!うちがそんなの払えっこないじゃないか!絶対に反対だ!とるなら今まで村役場からお米を貰って来たAさんか、お米のあるCさんからとってくれ!」
村役場の職員は、途方に暮れてしまいました。
そこで村役場の職員は、仕方なくCさんの下に行って尋ねました。
「Cさん、お米を返すことはできません。返さなくていいですか?」
Cさんは即座に答えました。
「何だって!そんなことは許せない!俺の手元には5年村債が30俵分もある。これが全部ゼロになるなんてありえない!そんな事なら今後二度と村債は買わない!絶対反対だ!」
村役場の職員は困ってしまいました。今年Cさんに6俵の米を返さなければならないのは勿論ですが、更にAさんに仕事を発注する1俵の米も必要です。村役場の職員はおずおずと尋ねました。
「すみません、大変申し訳ないのですが、今年は村債を7俵買ってくれませんか?そのうちの6俵で、今年の村債をお返しします…。買っていただいた5年村債は、5年後には14俵になるんですよ。」
Cさんは、7俵も村債を買うのは躊躇しましたが、5年後には14俵分になると聞いて、思い直し、村債を7俵分買う事にしました。
村役場の職員は、Cさんが7俵もの村債を買ってくれたことでほっと胸をなでおろしましたが、話はここで終わりませんでした。Cさんが眼光鋭く、こう切り出したのです。
「職員さん、私の手元には30俵分の村債がある。これからの5年で更に65俵分になる。もうこの村は私の力なくしてはやっていけない。これからは、何でも私のいう事を聞いて村役場の仕事をするんだぞ!」
村役場の職員は絶句してしまいました…。
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