DJ OZMA 氏と放送法3条の2

  • 米山 隆一
  • at 2007/1/04 01:27:05

 紅白歌合戦でのDJ OZMA 氏のパフォーマンスが、論議を呼んでいます。私もこの場面を見たのですが、率直に「ひどいな」と思いました。これに限らず私は昨今のテレビ番組の品のなさには、正直辟易しています。仲間内での弱いものいじめを楽しむかのようなバラエティや、過度に性的な描写、犯罪や自殺を誘発しかねない興味本位の過剰報道が、誰もが見ることができるテレビ番組にあふれています。

 私は一般論として、ヌードだろうが政府批判であろうが、表現の自由は最大限尊重されるべきだと思います。DJ OZMA 氏のパフォーマンスも、「いじられ役」をどつきまわすバラエティも、興味本位の報道も、新宿のコマ劇場で行われるなら、何の問題もないことですし、私自身、「大人のジョーク」として楽しめるでしょう。

 しかし放送は、限られた周波数帯を利用する、いわば「公共のもの」です。家の中でキスをすることと電車の中でキスをすることが異なるように、新宿コマ劇場でヌードパフォーマンスを披露することと、放送の場でそれを披露することは決定的に異なります。ましてや放送業界はその「公共のもの」を借りて収益を上げているのであり、それに携わる人が相応の倫理観を求められるのは当然でだと思います。

 放送法3条の2は、「国内放送の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない。公安及び善良な風俗を害しないこと。政治的に公平であること。報道は事実をまげないですること。意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」と定めます。表現の自由を考慮して、この条文は具体的な手続きも、罰則も定めない努力規定になっています。本来的には放送業界が自らの手で「公共の場にふさわしい放送」を作る基準を定めそれを遵守するべきですが、業界自らで出来ないのであれば、望ましくはないですし、極論であるとは思いますが、放送免許の停止や取消といった、罰則を含めた規定を作るしかないのかもしれないと、思ってしまいます。

 DJ OZMA 氏、NHK担当者を始め放送に携わる方々は「表現は、それを表現するにふさわしい場で行ってこそ、その自由を守る事が出来る」と言うことを、良く考えるべきだと思います。 


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コメント

拝啓、 まったく同感です!報道は事実をまげない事。とのフレーズを読んだ時、私は松本サリン事件で、人生を台無しにされた河野さんとTBSの「オウム関係者には、取材VTRは、見せていない」と言っていたTBSが坂本さん一家殺人事件の中でこのビデオの存在が、一家惨殺の動機になった事実に抗しきれなくなって、深夜の番組をしばらく自粛して非難の収まるのを待った事が、思い出されます。あの時でさえ放送免許の取り消しや停止という事は議論にもなりませんでした。少なくとも、事実でない事を事実だと偽って報道した場合は、製造物責任同様、責任を問われるようにしないといけないと思います。 また、放送の内容ですが私のある中国から留学していた友人が、真剣な顔つきで、「あなたは、日本人の女性と結婚しないで私が責任もっていい人を紹介するから、中国の人と結婚しなさい!」と忠告されました。あまりに真剣なので、何で日本の女性ではいけないの?と聞いた所「日本語の勉強と思って、火曜サスペンス、木曜ゴールデン劇場、土曜ワイド」と週三回、日本のドラマを見ているけどそこに登場する日本の奥さんはみんな不倫を何の罪悪感も無くやってのけているので、友人として心配とのことでした。その時の心境は、あり難いやら情けないやらで複雑な思いでした。なるほど、後日ビデオに録画して確かめてみると、どのドラマも基本コンセプトは一緒で、殺人があり、不倫があり、お金の問題があるとどれもこれの一緒でした。アブノーマル性を描いた作家の思いが、今日、不倫、殺人、お金に絡む汚職という形で、総てが日常化しています。放送する意義、また放送する事で生ずる社会的損失や自殺のような報道連鎖などもこの際、考えてみるべき時なのではないでしょうか?先生のご活躍を心より、応援しております。頑張ってください!               敬具

  • Posted by 羽根川 康徳
  • at 2007/01/09 13:47:03

 羽根川さん、コメント有難う御座います。マスコミ規制のあり方は、報道の自由との絡みもあって大変難しいのですが、米国を始めとして日本より遥かに厳しい放送基準で、民主的に運用されている例は多々あり、日本の現状を見る限り検討の時期に来ていると思います。  社会は政治だけでなく、市民や、マスコミや、行政や財界と言った全ての分野に携わる人が、良くしようと思って取り組んでこそ良くなるものだと思います。マスコミが、規制など必要ないと思える志を、自ら示してくれることを、期待します。

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