本日北朝鮮が第2回目の核実験に成功したと報じられました。様々な見方が可能ですが、私は、「北朝鮮は今度こそ、アメリカを初めとする国際社会の虎の尾を踏んだ可能性が高い」と考えています。
この報道がなされるまで私は、北朝鮮について、「何のかんの言って、北朝鮮に関わる5カ国の中で、金成日体制の崩壊を望んでいる国は日本以外にない。そうである以上、北朝鮮に対して、本気でプレッシャーをかける国も日本以外に無く、北朝鮮は現状を維持し続けるだろう」と思っていました。
北朝鮮はアメリカ、中国、ロシアという3大国の勢力範囲の境界上にあります。もし金正日体制が倒れたら、アメリカも中国もロシアも、そして勿論隣の韓国も、「北朝鮮を相手にとられたら、相手の勢力範囲の拡大を許し、直接相手と接することになってしまう。それはなんとしても避けたい。しかしその為に北朝鮮を自ら取りに行ったら、相手との紛争、場合によっては軍事衝突となり、自らも甚大な損害を被る可能性がある。それはそれでなんとしても回避したい。」と言う深刻なジレンマに直面することになります。
つまり今までの北朝鮮は、直接境界を接しない日本以外にとっては(アメリカとは勿論境界を有しませんが、韓国を通じて「アメリカ圏」と接しています)、地政学的に、「ただただ国力を浪費しながら、緩衝地帯として存続してくれる」事が最も都合の良い国家だったわけです。これがどんなに北朝鮮が無茶をしても、各国が一定以上に北朝鮮を追い込まなかった最大の理由であり、拉致被害者回復問題を初めとして率直に言って北朝鮮問題について日本外交は失敗し続けていますが、あながち政府当局を責められないのではないかと、私は思っています。
しかし今回の一件で北朝鮮は、「核兵器を積んだ長距離ミサイルを他国に打ち込む現実的脅威を有し、且つ損得勘定以外で行動する予測不能な国家」であることを示してしまいました。このまま北朝鮮を放置したら、「テロリストに破格の値段で核爆弾付ミサイルを売り渡す」可能性すら、否定できなくなってしまいます。それは北朝鮮が、「ひたすら存続だけはしていて欲しい国」から「存続そのものが危険な国-存続が望まれない国」に変わったことを意味します。明日開催される安全保障理事会の緊急会合の行方は勿論予断を許しませんが、長い目で見たときに、世界が北朝鮮を実力で排除する大きな転換点になる可能性があると、私は思います。この国際政治の力学の転換点を上手く利用して、懸案である拉致被害者問題を初めとした北朝鮮問題を解決できるか、日本外交の手腕が、今正に問われています。
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