本日小泉首相が靖国神社を参拝しました。私は参拝する行為それ自体は、正しいと思います。
総理大臣の靖国神社参拝に対する批判は、首相自身が要約しているとおり、主に3つあります。1) A級戦犯が合祀されている靖国神社を参拝することは、戦争を美化する行為である。2) 中国、韓国が批判する参拝は行うべきではない3) 国として靖国神社に参拝することは政教分離を定めた憲法20条に違反する。です。
1) に関しては、日本人の宗教観には合致しない批判であると思います。例えが適切かどうか分かりませんが、私の祖父が、不幸にして殺人を犯したとします。私は、祖父の殺人を悲しく思うでしょうし、決して肯定することはないでしょう。しかしそれでも私は、祖父を「先祖代々の墓」に埋葬するでしょうし、お盆になればそのお墓に手を合わせるでしょう。祖父の罪は罪として、それは天において神によって裁かれるべきもので、地上にいる私たちが判断すべきものではない。祖父の犯した罪への贖罪も含めて手を合わせ、すべての人の冥福を神に祈る、それがおそらくは日本人の宗教感覚であると思います。
2) については、そもそもそれ自体が、靖国参拝問題を考える判断材料にしてはいけないものだと思います。一般論として、他国からの批判に理があるなら、勿論素直に受け入れるべきですが、理がないなら、自らの立場を明確にして反論すべきだと私は思います。理由のない中途半端な妥協は、問題を複雑化させ、際限のない批判と譲歩をもたらすだけです。現在の中国、韓国の批判が基本的に1) のA級戦犯合祀に立脚している以上、私は、1) で述べたとおり、「私たちは、戦争を美化する意図も、肯定するつもりもない。A級戦犯の罪を認めた上で、その罪も含めて、戦争で命を落としたすべての人の冥福を祈っている。その心からの謝罪の気持ちを、どうか理解してほしい。」と、正面から日本人の宗教観を示すべきだと思います。
3) については、「世俗的宗教行為」をどこまで認めるかという「程度問題」になるので、明快な線引きはそもそも困難です。詳細は法律論になるので省きますが、内容、外形とも「故人の冥福を祈る」という範囲であるかぎり、一般的に許される範囲であると私は思います。
以上から私は、今回の小泉首相の参拝に原則的な問題はなかったと考えます。
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