先日の記者会見で、麻生総理は総額2兆円、1世帯当たり6万円の定額給付を打ち出しました。与党の一員でありながら大変恐縮ではありますが、私はこの定額給付に反対です。理由は単純で、「2兆円もの資金を費やしながら、その効果は恐らく限定的だから」です。
この「定額給付」の効果については、実質経済成長率を押し上げる効果は0.1~0.2%と推計されるとか、小渕内閣時代の7000億円の地域振興券で消費に回されたのは2~3割であり、今回も消費に回るのは2兆円の一部に過ぎないであろうとか、既にマクロ経済学の観点から複数の疑問が出されています(勿論別の立場からの反論もあるので、そう単純に結論を出せるという物でもありませんが)。
ただそう言った専門的議論はさておき、私はお金の使い方においては、「分散して使ってしまうと一瞬で消えるが、まとめて重点的に使えば大きな効果をもたらす」というのが大原則だと思っています。
小泉氏によって非常に有名になった故事ですが、戊申戦争敗戦後の困窮の最中、三根山藩から長岡藩に百俵の米が送られたとき、藩士小林虎三郎は、
「百俵の米も、食えばたちまち無くなるが、教育に当てれば明日の一万、百万俵となる」
と言って、これを売却して学校設立の費用に使いました。
この2兆円も全く同じ事で、全戸に配ればもらった方は嬉しいには違いありませんが、1世帯当たり6万円では、結局の所一瞬にして無くなります。何パーセントが消費に回ろうが、その効果は瞬間的で限定的にならざるをえません。そんなことに使うより、今現にお金が足りずに困っている医療の現場、福祉の現場、より経済に結びつけて企業向け融資や技術開発支援、そしてそれこそ故事通りに、教育の現場、子育て支援の現場に集中的に投下する方が、遙かに生産的であると、私は考えます(その上これらの現場では、投下されたお金は先ず間違いなく100%消費されますから、マクロ経済的効果も遙かに高いことになります)。
追加経済対策はこれから国会での審議が始まります。差し迫った危機を救う為に景気対策が必要であるのは当然として、是非与野党で十分議論して、「明日に生きるお金の使い方」をして欲しいと思います。
今回の日記を拝見し、先生に期待する気持ちがさらに強くなりました。
次回選挙では是非、国政へ。
選挙民ではありませんので、票では貢献できませんが、応援しております。
最近のコメント一覧