ニュースの感想

 昨日麻生総理が郵政民営化見直しに言及したことが、大々的に報じられました。発言内容はその後直ちに訂正されましたが、私は、正直今回は政権への打撃がかなり大きいと思います。

 「あらゆる政策は常に評価・反省されるべきである」と言う大原則に基づいて、郵政民営化の効果の検証を行うこと、その結果問題点があれば改められるべき事それ自体に問題はありません。問題は麻生総理が、「私は当時民営化案に反対だったから、責任はない」と言う趣旨の発言をしたことでしょう。

 勿論これも、「心情的」には理解できます。一人の政治家として、参加した内閣の政策に反対も賛成もあるのはむしろ自然でしょう。
 しかし、それはあくまで「本音」の話です。「建前」としては、閣議で反対を貫いて罷免されたのでない限り、参加した内閣が下した結論に同意したことは自分の責任です。また一議員としても、本会議で賛成票を投じた以上、本音がどうあろうが賛成した事への責任は免れません。だからこそ政治家は、自らの存在をかけて、法案への賛否をぎりぎりまで考え、決断を下さなければならないのだと思います。
 この「建前」を無視して良いというなら、政治家は「本音ではこうだったんだ」と言い訳さえすれば、あらゆる責任から逃れることができ、何の決断も不要だと言うことになってしまいます。

 麻生総理が「本音で語るざっくばらんさ」を魅力としてきたことはよく理解します。しかし「本音」はあくまで守るべき「建前」を堅持した上でこそ、生きるものです。一国のリーダーが、「本音-自らの感情」を「建前-原理原則」に優先させてしまったら、国家はよってたつべき指針を失って迷走してしまいます。同じ党の、しかも議員にもなっていない私が言う台詞ではないことは100も承知ですが、是非熟考していただきたいと思います(尚私自身総裁選では麻生総理に投票しており、それに対して当然責任があります)。


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コメント

(1)「郵政民営化」の閣議決定に最終的に担当として署名した=当時総務大臣の麻生さん
当時の発言
http://www.soumu.go.jp/menu_01/kaiken/back_01/d-news/2004/0910_2.html
「署名するに先立って、これは簡単には署名は出来ないと。」「詳細設計の過程で、その都度に応じて修正を加えるということになっていますし、総理からの確認も得ましたので署名させて頂いたということであります。」と発言されています。

(2)「郵政民営化決定後の実行計画(四分社化含む)」の担当=郵政民営化担当大臣の竹中さん

 今回の「担当ではない」発言は四分社化について、つまり(2)についてです。「四分社化の担当だったでしょ」と言われたので「四分社化の担当ではなかった」と説明しただけです。そしてむしろはずされた立場だった状況を説明するために「当時郵政民営化反対だったから(竹中大臣達の)議論に入れてもらえなかった」と発言されたのだと思います(反対する発言をしていたこと自体は3年前の当時報道もされており、隠すことではありません)。

 マスコミも民主党も意図的にか理解していないのか(1)と(2)の立場を混同して、日頃総理を批判しています。
 そして、そういった前後の流れや背景を無視され、「当時反対だった」という言葉だけが切り抜かれ一人歩きし、「当時反対だったから現在郵政民営化には自分は責任がない」という飛躍した意味にされ報道されたのが現在の状況なのではないでしょうか。

 麻生総理は(1)の立場から、現在も民営化自体には責任を持たれています。賛成した事への責任から免れようとはしている発言はされていません。総裁選のときも(1)の立場から発言されています。
http://www.jnpc.or.jp/cgi-bin/pb/pdf.php?id=364
ここでの発言は最初にあげたリンクの文章や今回の発言となんら矛盾はありません。

 (1)と(2)の違いや当時の麻生総理の発言、今回の国会での実際の発言の流れを熟考された上で、今回のブログを書かれているのでしたら、素人の私の解釈で見当違いのコメントをしていまい申し訳ありません。しかし、「私は当時民営化案に反対だったから、責任はない」という発言として総理の発言を一言でまとめてしまわれると、ブログを読まれた方々の中には誤解される方がいるのではないかと思い、コメントをさせて頂きました。

  • Posted by いち
  • at 2009/02/07 12:45:04

申し訳ありません。先ほどの投稿で、
(2)「郵政民営化決定後の実行計画(四分社化含む)」
と書いたのですが、決定後ではなく決定する前から竹中さんが郵政民営化担当大臣でした。
大変失礼いたしました。

  • Posted by いち
  • at 2009/02/07 13:06:55

いちさん、コメント有り難うございます。

そういう意図だったというお話は伺っています。

国会での議論を要約すると

筒井議員「郵政民営化を見直すつもりがあるか?」
麻生総理「4分社化を含め見直す必要があると考える」
筒井議員「あなたは担当大臣だったはずだ、反省していただきたい。」
麻生総理「ごもっともだ。但しはっきりさせておきたいが、私は担当ではなく、竹中さんが担当だった。私は反対だったからはずされた。濡れ衣をかぶせられるのは面白くない。」

かと思います(議事録が出た時点で、もう一度確認しますが)。麻生総理の真意は、おっしゃるとおり、「担当者でないから全般に責任がないと言おうとした」ものではなく、「4分社化を含めた郵政民営化法案に対し、内閣としての連帯責任(憲法66条3項)も議員として賛成票を投じた責任も認めた上で、単に立案担当者でなかったという事実のみを述べた」ものなのでしょう。私のブログの「と言う趣旨の発言をされた」は「と言う趣旨と『とれる』発言をされた」と書き換えるべきかもしれません。

ただ正直言ってそれはこの問題の本質ではないように思えます。問題は「総理大臣たるもの詳細情報を伝えなければ誤解されるような言葉を、安易に使ってはいけない」の一言に尽きるのではないでしょうか。今回も「内閣の一員としても議員としても、責任を痛感している。だからこそ、真摯に見直したいと考える」と言っていれば何の問題もなかったことを、「私は反対だった」「濡れ衣をかぶせられるのは面白くない」と言う言い方をされたことが、「責任逃れ」ととらえられる余地を与え、問題を大きくしたのだと思います。「ざっくばらんな本音や物言いは、適切な場面で使えば魅力となるが、TPOを間違えば大問題となる。国会審議のようなフォーマルな場では建前を守って発言していただいて、本音はそれにふさわしい場でご発言いただきたい。」が、麻生内閣の支持率によって大きな影響を受ける私の、切なる願いです。

  • Posted by 米山 隆一
  • at 2009/02/08 23:18:14

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