ニュースの感想
非常にマニアックな話で恐縮なのですが、帝人グループに属する「帝健」という会社が、超極細繊維「ミクロスター」を用いた「聴診衣」を開発し、近く販売予定と発表しました。
「聴診衣って何?お医者さんが聴診する時に着る特別な白衣を開発したの?」と思われた方、知らなくても当然です。なんとこの「聴診衣」、医者ではなく患者さんが着るもので、「これを着てもらえば服の上から聴診が出来る」という全く新しく開発された優れもの(?)だったりするからです。
「え?聴診って、普通胸をはだけるでしょう。服を着てやるものなの?」と思った方、貴方は私と同じ、古い感覚の持ち主です(苦笑)。現在医療の現場、学校や職場での健康診断では患者さん、特に女性の聴診のやり方がちょっとした問題になっています。医者の側としては胸をはだけていただくのが勿論一番やりやすいのですが、女性、特に思春期の女子学生さんの間からは、それはいやだという意見も多く聞かれます。そこで最近は下着(ブラジャー)をつけたままや、Tシャツの裾を軽く持ち上げてもらって隙間から聴診器を当てる方法が主流になっているのですが、それはそれで「手が当たった v.s. 衣服がじゃまで偶然当たっただけだ」「Tシャツで良いと言われていたのに医者がTシャツをあげるように指示した-胸の音が聞きづらかったから指示しただけだ」といった、水掛け論的セクハラ騒動のもととなってしまっています。
そういった難問を一挙に解決する新技術として登場したのが、この「聴診衣」で、最新の極細繊維を使っていて、この繊維が非常に良く音をよくつたえるので、服の上からでも聴診が出来るというものです。
私の過去の記事からもお分かりになるかもしれませんが、私は大抵の問題に対して、「あきらめろとか、我慢しろと言うのは、非現実的だ。問題が出るには出るなりの理由があるのだから、其れを探って解決すべきだ。例え現状での解決が難しくても、新しい方法や技術を開発して解決することはきっと出来るはずだ」と言う意見をもっています。しかし、医師として自分自身にも関わるこの問題については、「うーーーん、まあそれも良いんでしょうが・・・。裸というか、胸郭の形や肌の様子を見て分かることもありますしねぇ(因みに病気だけでなく、学校検診が契機で児童虐待が発見されることもままあります)。恥ずかしいのは分かりますが、こっちは数をこなすのに必死でそれほど外形的形状の善し悪しに興味を抱いていませんし・・・。ちょっと我慢して頂けると嬉しいのですが・・・」と思ったりします。
人には偉そうなことを言っておいて自分に当てはまることとなると突然保守的になって新しいやり方を否定する人の典型の様で大変恐縮ですが(苦笑)、皆さんのご意見は如何ですか?
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