女子柔道の代表15選手が、代表監督の体罰・パワハラを告発するという事件が起き、世間の注目を集めています。体罰問題については、言うまでもなくこれに先立って、大阪の桜宮高校での体罰が、注目を集めました。そして少々趣を異にしますが、社員にパワハラを行って時間外労働をさせる「ブラック企業」が昨年くらいから時折マスコミをにぎわせています。
体罰もパワハラも時間外労働も明らかに法令違反ですし、法令以前に、優越的立場を利用して他人の権利をふみにじる行為であって、一般常識として一片も認める余地はないものと私は思います。
にもかかわらず、この手の話を友人とすると、普段は穏当で常識的な意見を言う方の中にも、「強くなるためにはやむを得ない。」「多少ブラックな時間外労働を否定したら日本経済が持たない。」といった意見を聞くことがあります。私はそれに、全面的に反対します。
体罰というのは、要するに、「負けるのは気合(より上品には集中力)が足りないからだ!」と怒鳴って、暴力に対する恐怖でその気合(集中力)を高めようとするものだと思います。その手法に一定の効果があることまで全否定するつもりはありませんが、本来的にそれは、人はなぜ、どういう場面で集中力を失うのか、どうすれば集中力を維持できるのか、本番で集中力を高めるには普段どういうトレーニングをすべきなのか、を考えて対処すべき問題であり、それがアメリカで流行の「スポーツ心理学」とか「メンタルトレーニング」というものでしょう。日本柔道界は、「暴力」という安易な手段で目の前の1勝を手にするために、「スポーツ心理学」「メンタルトレーニング」を導入して長期的な、世界での勝利-金メダルを手にする機会を失ったのだと、私は思います。
「ブラック経営」についても全く同じで、社員に給与を支払うことなく残業をさせれば、特に人件費がコストの大きな部分を占めるサービス業では、その企業は簡単に国内のライバルとの競争に勝つことが出来ます。しかしそれによって、本来は業務運営のシステム化、ビジネスモデルの刷新、市場や仕入れ先の開拓等々によってなすべき収益構造改善のチャンスを失っていると言えると思います。ここでも、日本企業は、「ブラック経営」とう安易な手法で目の前の1勝を得るために、「収益構造の改善」というまっとうな手法で長期的勝利を得るチャンスを失い、長期的には世界市場での勝ちを失っていると言えると思います。
私も大概しつこいですが、「何も考えずに公共投資」という極めて安易な方法で、目の前わずかな景気回復を得るために、それこそブラック経営をはじめとする日本経済の構造改善、教育改革をはじめとする社会そのものの改善を行わないことが、本当に我々の為になるのか、次世代の為になるのか、「美しい日本」と言えるのか、真剣に考えるべきだと思います。
真剣に考えてあなたならどうしますか
こんにちは。
体罰への考え方に関しては同意させていただきます。
ただ、言うことを聞かなくてついつい手が出てしまう程度のことは人間として仕方のないことなのかとも思いますが、それが肯定されるのはいかがなものなのかと。
以前私もブラックと名高い某メーカーで勤務し、毎年新車一台買える程度のサービス残業はしてきました。
私の要領が悪いのも多分にありましたが(苦笑)
営業職の世界は特にブラックが強いと感じます。
特に保険業界や金融業界の顧客利益無視で厳しいノルマを与えられる販売方針は呆れを通り越して哀れみです。
しかもリスクマネジメントも金融の基本もまるで分かっていない営業さんが多いですのでね。
その辺りは本当に教育を通じ根本的なことから教え直さなきゃならないのかと思っています。
詰め込み教育ではなく、自ら問題解決や目的達成のための手法を考えられる人間を育てるための教育が必要だと思いますし、お金の教育や道徳的な教育教育の改革などをやって欲しいと思っています。
小千谷市民さん
コメント、ありがとうございます。
体罰については、自身が体罰を受けた方から、「学生時代体罰で鍛えられたから、社会でやっていける精神論が身についた。」等の肯定論を聞くことがあります。
しかしこれは冷静にみると、「学生時代に体罰を受けた」から「社会人になってブラック企業に耐えられる」ということであり、より辛辣に言うなら、「学生時代に体罰に慣らされた」から「社会人になってブラック企業に文句を言わない人になった」ということだと思います。体罰によって身についたのは、「精神力」ではなく、「長いものに巻かれる従順さ」と「理不尽にものをいう気概の喪失」でしょう。
今までのモデルが崩壊した今日本は、「新たな道」を踏み出す勇気と気概と創造力を必要としています。今回噴出した問題を契機に、教育、スポーツ、産業、政治のそれぞれがそれぞれの課題に、正面から取り組むべきものと思います。
雪割草さん
コメント、ありがとうございます。
「さんざん批判をして、じゃあお前はどうするんだ?」ということになるかと思いますので、ここはひとつ、大政策論として、「日本列島再開発計画」の改訂版、「日本列島Smart化計画」を今後複数回に分けて本ブログで展開したいと思います。一回も当選していない一浪人の計画ですので、数字やデータの詰めの甘いほら話になるのはご容赦いただいて(笑)、しばしお付き合いいただきたいと思います。
ブラック企業の代表のワタミの会長が立志伝中の人物として、
あちこちで大口たたけちゃう社会から変えなきゃならないと思いますが、
テレビは特に体育会系の人間が強いところだったりするので、
まあ欠陥品を賛美するのはもうどうにもならないのかなぁと
といいつつ私の所属するIT業界も業界そのものがブラックだったりしますけど(なので当然年がら年中人が足りないという羽目になる)
何も考えず公共投資というか、今高度経済成長期の建築物がかなりガタガ来ているので、
まずそこからやって欲しいなぁと
後は田舎の、それこそイノシシや鹿の走り回りそうな道路なんかより、
とっとと、外環道や圏央道のような必要なところに集中投資すべきなんだけど、
どういうわけか東京出身の政治家は誰も口にしないのが不思議
某事件で体罰があった事は否定出来ないししないですが、実際はTVなどで報道されている事情といささか違うようです。
かといって、そのいささか違う事情が真実なのかどうかは確認していないので、ここでは省略させていただきます。
そういったアバウトな事実を元に(事実だったとしても)公衆の面前で吊るし上げ公開処刑にするマスコミの手法もどうかと思います。
彼らは今まで何人正義の名のもとに吊るし上げ命を奪ってきたことでしょうか。
以前鳥インフルエンザを報告しないで蔓延させた経営者を自殺に追い込んだ時が思い浮かびます。
そういった意図がないとしても、情報の扱いは慎重にすることが必要だと思います。
変なところでは人権を盾にする世の中なのに不思議なものです。
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