自民党西川TPP対策委員長が、聖域5項目の見直し発言をされました。これに対して農業県であり、「TPP交渉参加絶対反対」「TPP聖域5項目死守」「死守できなければTPP脱退」を明言されて衆参両選挙を戦われた本県自民党議員の方々が、新潟日報にコメントを出されました。
曰く、
「5項目を守るための議論をしていることを自覚しなおすべきだ。12月目標とか年内妥結とかいうべきではない。」
「(5項目の関税撤廃が前提ではないという)幹事長の言葉で最後はまとまった。地元にも安心してもらえる説明が出来る。」
「幹事長が全身全霊で公約を守ると明言した。自民党が方針転換したとの報道もあるが、全く変わっていない。」
です。
聖域5項目を絶対に死守すると今尚本気で考えておられるなら、それはそれで、一つの立場でしょう。
しかし、それはすなわち、現在暗礁に乗り上げつつある、TPP交渉を妥結させないということであり、安倍総理の、「TPPの年内妥結へ、日本が主導的役割を果たす。」と言うスタンスと、真っ向から反します。
そしてそもそも安倍総理がTPPの年内妥結を急いでいるのは、「円安誘導、インフレ誘導」の安倍ノミクスが目に見える経済回復を実現するためには、輸出企業が業績を回復する必要があり、それにはTPPによる巨大市場が不可欠だからですが、これもまた否定するということになります。
つまりは上記コメントを出されているお三方は、「TPPにおいて日本が主導的立場を担うことも、安倍ノミクスによって日本経済が回復することも必要ではない。」と言っているに等しいと、私は思います。
私は是非お三方に、
「お考えは分かりました。それでは、TPPと成長戦略はどうされるのですか?」
とお尋ねしたいと思います。
勿論もし本当にこの問いを発し、そして回答を得る機会があったなら、3人が3人とも、「聖域も、TPPも、経済成長もすべて実現する。」と答えられるでしょう。
しかし、私は断言します。それ不可能です。
TPPに参加しておきながら、自らは一切妥協をせず交渉を潰したら、今後日本がアジアの貿易ルール作りでリーダーシップをとる機会は来ないでしょう。
安倍ノミクスが内需中心・規制緩和中心の政策ならともかく、あからさまな円安誘導・外需中心・大企業中心の政策である以上、海外市場の確保が出来なければ、インフレと輸入原料高だけが経済に重くのしかかり、安倍ノミクスは惨憺たる失敗に終わるでしょう。
一つの政策には様々な側面、さまざまな影響があり、良いところばかりを寄せ集めることは出来ません。
そしてだからこそ、政治が決断し、選択し、対策を打ち、説明しなければならないのです。
責任ある立場にある与党の方々には、互いに相矛盾し、目の前で聞いている人ごとに違う、都合の良い「守れない約束」を、あちらこちらでふりまくのではなく、一貫性があり、矛盾しない、実現できる政策を、きちんと説明されることを求めます。
ここに来てTPPは大きな壁に当たってしまいましたね。自民党内で、方向性の整合が取れていません。もう少し考えるべきであったと思います。公約違反は多くの不信を招きますので、よく考え、できることから確実に実行し、国民の信用を獲得して欲しいと思いました。
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