特定秘密保護法案が与党自民党の強行採決により衆議院を通過し、我が日本維新の会は修正協議に応じたのち、採決を欠席しました。

 この日本維新の会の対応に賛否はあるものと思いますが、私は、原因の根本は与党にあり、次善の策としてやむを得なかったものと思います。
 昨今の安全保障情勢に鑑み、国家秘密の保護を規定する法律が必要なことに、異論はありませんが、既に様々な論者によって指摘されている通り、今回の法律は、あまりにも「政府による恣意的運用」をチェックする仕組みに欠いており、国民の知る権利が大きく阻害される可能性が高く、到底このまま賛成することは出来ないものです。
ただ反対するだけでは何も得られませんから、可能な限りの修正を飲ませたうえで、尚欠席した我が党の対応は、苦渋の選択として許容されるべきものと思います。

その上で敢えて言いますが、この法案の本当の危険は、「政府による恣意的運用」ではありません。本当の危険は、

「霞が関による恣意的運用」

にあります。当初推定で、「特定秘密」の数は 40万件! と言われています。安倍総理が如何に力んでみたところで、これを政府がコントロールすることは不可能で、基本的に現場の末端官僚が、運用の総てを握ることになり、霞が関の官僚にとって不都合な情報は、国民からどころか内閣からさえも、徹底的に秘匿されることになるでしょう。

この法案は、おそらくは霞が関の官僚によって、意図的に政治(国会)のコントロールが困難な形で制度設計されており、にもかかわらず、自民党安倍政権は、官僚の方々から「内閣(総理)がきちんとコントロールできる制度になっております。内閣(総理)が適切な管理をされるから大丈夫です」的な説明をされて、すっかりその気になってしまっているというのが、真実であろうと推定します。

そういった目で見てみると、安倍ノミクスも、実は特定機密保護法案と、極めて似た構図になっています。国家戦略特区に代表される成長戦略、大企業中心の減税措置と消費税増税、意外に削減が打ち出された公共事業と、廃止が決定された減反政策、これらを総合してみると、透けて見えるのは、

①国家主導で、大企業をターゲットとした「成長戦略」である。
②財務省的な増税による財政再建路線はむしろ強化されている。
③企業や個人の自由度はむしろ減少している。

であり、おそらくこれは、政権の中枢を財務省ががっちりと握り、自民党安倍内閣はその振付にしたがって、高度成長時代の「国家主導、企業主導」経済政策で経済を回復させると同時に、主に個人向けの増税で制度の根幹に手を付けないまま社会保障費の増大を乗り切ろうとしているということであろうと思います。

 それは、明らかに時代遅れであり、バブル崩壊以後30年間、失敗し続けた政策を、もう一度やって、もう一度失敗するだけの結果に終わるものと、私は思います。
 長くなったので詳述はしませんが、いま日本に必要なのは、個人が正当に報われる労働環境の整備であり、中小企業を含めたすべての会社が自由に競い合える市場の創出であり、効率的に持続可能な社会保障制度の構築です。

 新しい制度が必要な時代に、古い制度をより強権的に運用しようとする安倍政権、安倍ノミクスの方向性に、私は強い危惧を覚えます。

追記:今日の手振り風景です。東京から新幹線に飛び乗ってきたので、通勤風ステンカラ-コートでのごあいさつになりました(笑)。

 


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