安倍首相の側近である、衛藤首相補佐官が、YouTubeで、アメリカが安倍総理の靖国参拝に “disappointed” を表明したことを非難していると報じられています。
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私は、靖国参拝そのものは、「日本の国内問題であり他国にとやかく言われる問題ではない。」と思いますが、同時に既に国際問題になってしまっている以上、国際情勢を見極めた慎重な対応が必要と言う立場です。
「安倍総理靖国神社参拝 ~国際政治のリアリズム~(http://www.elec
衛藤氏の見解が、政府の公式見解であるのなら、それを公式・非公式な場でアメリカ伝え、日本の立場を理解するか、少なくとも黙認してくれるよう、粘り強く説得することは、大いにやったらよいと思います。
しかし、そういった手順を踏むことなく、責任ある立場の人が、おそらくは政府見解でもない「個人(若しくは安倍首相の周囲)の見解」を、こういう形で垂れ流し、重要な同盟国であるアメリカを批判することは、全くやるべきことではありません。
これをしてしまったら、アメリカ政府としては、「いくら安倍内閣と話をして、表面上は合意に達しても、結局のところ本心は別のところにあって、その本心を、全くアメリカ政府が関われない場で表明してくる。」と考えざるを得なくなります。それは、日本と言う国家が、「信頼できる交渉相手」-国際戦略上のパートナーではなくなることを意味します。
いくら力んでみても、いくら靖国を参拝して八百万の神々にお願いしてみても、いざ中国が実力行使に出てきたら、日本一国で尖閣を守ることは、絶対にできません。
尖閣を守るうえで決定的に重要なのは、アメリカと、例え考え方に違う部分はあっても、「国際戦略を実行するパートナーとして相互に信頼できる相手である。」という関係を築いておくこと、そしてその戦略にのっとって、日米共同で作戦行動にあたることです。
ひとたび国家と言う枠組みを離れたら、我々日本人は、物事を成し遂げるうえで、一人でできることは極めて限られており、「人と人との信頼関係」と言うものが、いかに重要であるか、よくわかっています。そしてそれは、当たり前ですが、国際政治においても、全く同じなのです。
安倍政権・日本政府には、独りよがりと言って差支えない「日本至上主義」を脱却し、さまざまな国と、お互い妥協と譲歩を繰り返しながら、しかし相互に信頼できるパートナーとして協力し合って、大きな成果を達成する「大人の国際政治」を、ぜひ実現して欲しいと、思います。
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