私のブログ記事「本当の農業特区を新潟県に ~「特区と言う名の公共事業」誘致~(http://www.elec
先の稿で私は、安倍政権の農業特区を「改革する本当の特区とは言えない」と書きました。それでは、「真の改革」をする「本当の特区」とはどうあるべきでしょうか?特区に限らず「改革」は現状の問題点を分析し、その問題点を解決する本質的な手段を講じることによってなされます。したがって「本当の特区」を考えるには、まず、「日本の農業の問題点‐ボトルネックは何か?」の分析が必要になります。
我が実家の養豚経験を踏まえて考えるに、日本の農業の3大問題は
①販路、資材の購入経路が、事実上農協(JA)に独占され、選択の余地がない。この状況で、JAに創意工夫が見られず、斬新な販路の開拓や、安価な資材購入が見られない。
②小規模農家が多く、効率化が難しい。
③高齢化が著しく、労働力が不足している。
だと思います。そして、②③は、原因であると同時に結果ですし、いくつかの有効な手立てが簡単に考え付きます。しかし①こそは、まさに「岩盤規制」に守られた既得権益であり、これを壊すことこそが、極めて困難であっても、特区にふさわしいと、私は思います。
そもそも農協は、「農業協同組合法」と言う法律に基づいて設立される協同組合の略称(一般名称)で、JAに限るものではありません。JAは、この法律によって設立された日本(世界)最大の農業協同組合ですが、法律の上ではJA以外にも農業協同組合を作ることは可能で、実際いくつかあります(但しいずれも小規模です)。
そして農業協同組合法では、農協に「農産物の販売、組合員への物品の販売、営農指導」だけでなく「信用事業(銀行事業)」「共済事業(保険事業)」を認めています。これによって、JAは、事業・銀行・保険を一つの組織でいっぺんにできる巨大なコングロマリットとなっています。
更に驚くことに、農協には「独占禁止法の適用除外規定」があり、何と、地域の組合員に「農協以外のところに出荷したら、農協への出荷を停止する。」的な、一般の企業なら独占禁止法に違反する行為まで許され、実際にこれに類する行為が行われてきました(但し最近は露骨な出荷独占は、「不公正な取引」ということで、あまり行われなくなりました)。
つまりJAは、独占禁止法適用除外の巨大コングロマリットとして、日本中の農業経済を事実上独占し、鉄壁の規制とデファクトスタンダードによって、がちがちに守られているのであり、これこそが日本の農業の多様性と創意工夫をはばむ大きなボトルネックとなっているのです。
ここに「穴をあける」ことこそ、特区の役割だと、私は思います。実現の具体的な法律は以下の二つになります。
①農業特区内に限って、一定の要件を満たした株式会社に、農業協同組合法の適用となる組織の設立を認める(農産物の出荷(営農指導)・信用事業・共済事業を行うことを認める。)。
②農業特区内に限って、農業協同組合に対する独禁法の適用除外を廃止する。
たった二つの法律ですが、これを「新潟県」で実現したらそれは、日本の農業に対する「一大革命」になります。出荷(販売)・銀行・保険をいっぺんにできる組織を作れることは経済的に極めて魅力が高く、かつ新潟県には「魚沼コシヒカリ」「新潟コシヒカリ」と言う一定の値段をたもて、かつ大量の取引を確保できる商品が確立しています。
ほぼ間違いなく、イオン出資の「イオン農協」、イトーヨーカドー出資の「セブン農協」ができ、地元資本設立の「レルヒさん農協」「トッピー農協」もできるでしょう。そして独禁法の適用を除外されたJAが、これら「新参農協」と激烈な競争を展開することになります。
この様にして、一定規模の資本を持った複数の農業協同組合が、出荷、販売、営農指導を競い合い、輸出をはじめ新たな販路を拡大し、より良い営農方法を開発していくことこそが、今の停滞した日本の農業を改革する現実的な大きな原動力になると、私は思います。
そして、岩盤規制に守られた強力な既得権と政治力を持つJAの反対を押し切ってこの改革を実現するためには、「政府主導で、限定した特区において行う。」以外に道はありません。
魚沼の養豚農家の息子として、また今現在養豚業を営んでいるものとして私は、非常にドラスティックな手段ではありますが、ぜひこの、「農業協同組合特区」を実現して、「複数の農業協同組合が互いに競い合う。」環境を作ることで魚沼・新潟の農業を活性化し、それをもとにこの制度を日本全国に広げ、日本の農業を、現実に、再生していきたいと思っています。
民業圧迫にもほどがあります。金融関係は郵便局に譲渡し、地域分割するか何かできませんかね。
非常に面白い案ですね。
創意工夫を持って自由に私達の作った農産物を販売出来る仕組みを作りたいですね。
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