政府が、オリンピック需要と復興需要に向けて建設業への外国人労働者の受け入れを拡大すると同時に、女性の社会進出を促進するために、家事と介護分野でもこれを拡大する方針と報じられています。
私は、やる気のある優秀な外国人に、日本と言う豊かな地で働くチャンスを与えることには賛成です。
しかし、建設業界での人手不足、女性の社会進出の支援に外国人労働を用いようという政府案には、「あまりに本末転倒」だと思います。
今日本の失業率は3.6%、一時より下がったとはいえ、失業者は232万人います。そのすべてが建設業で働けるわけではないのは勿論ですが、2015年~2020年度に不足されると推定される労働者は延べ15万人にすぎません。この程度の人数なら、どう見ても232万人からリクルートできます。それが出来ないのは、「人間の不足」が問題なのではなく、建設業の待遇、労働環境が他の職種に劣ることが問題だからです。
「十分とは言えない労働環境」を本質的に改善することなく、外国人に頼るのは、結局のところ、「十分とは言えない労働環境で、それでも安い賃金で黙って働いてくれる外国人に押し付けている」だけのことにすぎません。
女性の社会進出も同じです。女性の社会進出が現状でなかなか難しいのはその通りですが、それはむしろ、「長時間労働を美徳とし、暗黙のうちに強制する日本の企業文化」「一旦家庭に入った女性の再雇用に後ろ向きな柔軟性に欠く労働市場」「介護現場の待遇が十分でないことによる人手不足」「保育現場の待遇が十分でないことによる人手不足」が原因です。これらの問題を本質的に改善することなく、外国人に頼るのは、結局のところ、「女性の社会進出を妨げている制度のゆがみを、黙って安く働いてくれる外国人に押し付けている」だけのことにすぎません。
私はそれは、極めて志の低いことだと思います。日本に来て働く外国人にだって、夢も希望も人生もあります。女性が来たら、その女性が日本で出産するかもしれません。日本の労働環境、日本の労働市場のゆがみをすべてその人たちに押し付け、安くても、労働環境が悪くても黙って働かせ、日本人の女性は仕事と家庭を両立できるが、働きに来た外国人の方々はそれどころではないというのは、全く健全ではありません。
日本の未来は、日本人の手で、日本の問題点を改めていくことによってしか開けません。政府には、現状の問題点を放置したままその歪みを外国人に押し付ける安易な対策ではない、志の高い、日本で働くすべての人が幸福になるための制度改革に、取り組んでいただきたいと思います。
主要職種別平均年齢,勤続年数,実労働時間数と月間給与.xls
記述に興味を持たせていただきましたので
>建設業の待遇、労働環境が他の職種に劣ることが
いくつか具体例をお聞かせください。
とおりすがり(元)さん、コメントありがとうございます。
総務省の平成24年「主要職種別平均年齢,勤続年数,実労働時間数と月間給与」をエクセルファイルで添付しました。なかなか興味深いものです。ご子息の進路選びの参考になるかもしれません。御査証ください。
優秀でかつ日本に忠誠を誓う移民は大歓迎です。が、国籍を取得しようとする者の中には後者をないがしろにする輩が結構います。また、移民の1世代目に国政参政権を付与することも危機感を感じます。
>、「人間の不足」が問題なのではなく、建設業の待遇、労働環境が他の職種に劣ることが問題だからです。
それよりも自発的失業者が生活保護をもらっていることのほうが問題です。どうしても働けない人がもらうのではなく、「働いたら負け」と言っているような五体満足な受給者を野放しにしている状況のほうが問題でしょう。
労働は憲法で定められている義務の一つのはずです。
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