ニュースの感想
先日、仕事帰りに話題の「美味しんぼ」を読みました。
感想は一言
「微妙」
でした。
放射能にかかわる主張は巷で指摘されている通り非科学的ではあるのですが、それはほとんどすべて「〇〇氏がそういっていた」という伝聞の形で紹介されています。つまり中身は怪しくても、伝聞としてはおそらく真実で、それが、作者が「取材に基づいた真実を書いている!」という根拠なのだと思います。
感心はしませんが、世の中に感心しない非科学的なものは山ほどあるし、そういうことを主張する人もたくさんいます。
反対のご意見の方には恐縮ですが、「いじめが増えたのも、非行が増えたのも、子供の学力が落ちたのみ、みんな白米を食べないからだ!白米を食べれば全部解決だ!」とか、「日本の景気が落ちたのも、地方が衰退しているのも、日本の人口が減少しているのも、みんな公共事業を無くしたからだ。公共事業さえすれば、全部解決だ!」と言う意見も、流石に科学的根拠、経済学的根拠は皆無ですが、これらを伝聞どころか「絶対的真実」として主張する本や言論が特段の制限をされているということはなく、科学的根拠がないからと言って一漫画雑誌の一作品だけを取り上げてことさらに批判するのは筋違いかなと思います。
また、こと放射能に関して、こういった「科学的根拠がない」言説が流布するのは、それを言う本人が科学に疎いということも勿論あるのでしょうが、実のところ「風評被害」を恐れるあまり、東京電力や政府が、放射能に関する情報をある種隠蔽して小出しにしていることも、影響しているように思います。
私自身のブログ記事
「福島の子供の甲状腺がんと除染 ~科学的議論に基づく復興を~(http://www.elec
「福島の子供の甲状腺癌2~他県との発生率の比較~(http://www.elec
で記載してもいるのですが、汚染水の問題にしても、甲状腺がんの問題にしても、空間線量の問題にしても、東京電力も政府も、おそらくは福島の復興を願い、風評被害を恐れて悪意なくやっていることだとは思いますが、「良い情報は大々的に喧伝し、誤解を生じそうな悪い情報は、非常に小出しにミスリーディングな方法で公開する。」と言う傾向があるように思います。それは、結局のところ、「東京電力、政府の言うことは何一つ信じられない。」という気持ちを生んで、新たな、しかもより強固で解消しがたい、風評被害を作ってしまうことになります。
美味しんぼに書かれている不安、疑念、批判を感じる人がいることそれ自体はどのような状況であれ当然なのですから、それを「出すな!」と言う形で封じ込めるのではなく、たとえ遠回りに見えても、良い情報も悪い情報もきちんと開示したうえで、「この悪い情報はそういう風に感じるかもしれないけど、これこれこういう理由でそうではないんですよ。」「確かにこの部分は、ネガティブな影響が実際にあります。でもそれには、こういう風に対処できます。」と言う風に、ていねいに議論を重ねて国の方向を決めていくのが民主主義と言うものですし、結局最終的には、賛成派と反対派がお互いの立場を理解・尊重し、風評被害なく福島を復興する近道になるのだと、私は思います。
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