円が一時110円を下回りました。私は、強い恐怖を感じます。
今まで何度か指摘してきたことですが、安倍ノミクスが今までやってきたことは、基本的には
(1)「大胆な金融緩和」と称して円を大量に刷り、国債と株式を買い上げ、市場に円を放出した。
(2)「機動的な財政出動」と称して、結局従来と何ら変わらない公共事業を行った。
だけであり、
(3)第3の矢と言われた成長戦略は、アドバルーンを打ち上げるだけで2年たった今も実質的には何一つ行われていない。
であると思っています。
(2)(3)は相も変らぬ自民党政治という事である意味御愛嬌なのですが、(1)は、喧伝されているその効果とは裏腹に、本当のところ日本に、深刻な影響を及ぼしているように思います。
まずもって株価の上昇と金利の低下(国債の上昇)、更には地価の上昇はもてはやされていますが、その恩恵を受けるのは当然株式、国債、土地を持っている人に限られます。そしてそのコストは、当然「一般物価の上昇」と言う形で、株式、国債、土地を持っていない人が支払っています。結局(1)の効果が日本全体にとってプラスになるかマイナスになるかは資産高による資産保有者の消費増と、物価高による資産非保有者の消費減のどちらが大きいかによって決まるのですが、国内の消費は今や完全に減少に転じています。
さらに悪いことにこの影響は、資産を有する者はより豊かに、資産を有さないものはより生活が苦しくなって、要するに貧富の差を拡大してしまいます。それは、富裕層よりはるかに数の多い「ワーキングプア」と呼ばれる層の収入を下げ、結婚・出産を困難にし、出生率を下げ、子供の教育を困難にして、全体として、日本全体の将来に大きな悪影響を及ぼしかねません。
そして極めつけが冒頭の円安です。株価と国債価格(金利)は、確かに政府が円を刷って買い支えれば、価格は維持できますし、今現在政府はそれに成功しているように見えます。しかし円(為替)は違います。円を買い支えるにはドルが必要で、日本政府がそれを刷ることはできません。それ以前に株や国債は基本国内マーケットが相手ですが、円(為替)は巨大な国際マーケットが相手で、一旦通貨の暴落が始まったら、それを止めるすべは実質的にはありません。実際今までに数多くの国が、通貨の暴落に端を発する通貨危機で、なすすべもなく壊滅的な打撃を受けてきました(有名なのは1992年のポンド危機で、イギリス政府は、ソロスをはじめとするヘッジファンドのポンド売りに必死で抵抗しましたが、ほぼなすすべもなく敗れ、変動相場制に移行しました)。
日本が貿易黒字国・経常黒字国であった時代、円安は貿易収支・経常収支の黒字をもたらし、それによって円高に反転する力が働きますから、日本は通貨危機とは無縁な国でした。しかし、日本はついにこの上半期、赤字に転じました。こうなると円安になればなるほど赤字幅が広がり、歯止めのない通貨危機が起こりえる状態になったと言えます。そして通貨危機が起これば、暴落した日本の国富は、海外から安値で買いたたかれてとめどなく流出していきます。
安倍ノミクス3本の矢で最も(唯一)効果を上げていると喧伝されている「大胆な金融緩和」はその実、ひたすら円を刷り、意図的な株価維持で支持率の維持を図っているだけで、結果として円の値打ちを下げ、円を支払って暮らす人を困窮させ、日本の対外的価値を低下させている亡国の政策にすぎないように、私には見えます。
1ドル110円の警告が、本当の通貨危機、本当の日本売りにつながらないように、この見せかけの亡国政策の本質を見破り、本当に日本にとって意味のある改革を行う政策に転換すべき時が来ていると、私は思います。
あのね、米山さん。
教科書通りの批判はもう食傷気味かなぁ?。(笑)
好くも悪くも相場は動くし、勝者も敗者も居るのは当たり前ですね…。
それとも、貴方は貴方の独自の優越した能力で相場を支配コントロールして敗者を生まない資本主義を見せて下さいますか?
「やれるもんならやってみな!」って、テレビドラマ半沢直樹の香川照之さん並みに貴方に問いたい。
一時、本来在るべき自民党の保守本流の器質を貴方に感じて物凄く惚れ込みましたが、最近の貴方の言論には正直失望しています。
具体的に批判する割には、貴方が差し示せない未来像に具体的なモノが皆無なんですよね…。
先憂後楽ってさ…、投資家ならば当たり前だけど、政治屋がそんなフリするだけで庶民派に見えると勘違いするのは、流石に時代錯誤だと思いますよ…。
ちゃんと答えて下さいな!?じゃあ、円相場の適正って幾ら?
初めから自分で具体的に語れないのに批判だけは勇ましい。結構な御身分ですねぇ。
長岡市民(ノリ)さん、コメントありがとうございます。お久しぶりです。
最近忙しくてあまりブログを書けなくて恐縮です。実はこの次の記事は「代案『ヨネノミクス』!」(笑)を予定しておりますので、私の具体案はぜひそちらをご覧ください。
ところで、「私が自民党にいるとき、私が自民党保守本流に見えたのに、今は私が保守本流を批判しているのでがっかりだ。」と言うご指摘にお答えいたします。
見る人によるのでしょうが、私としては、私の主張は10年前に立候補した時から一貫して、「公正なルールによる、公正な社会の実現」です(このブログには10年前からの公約が全て記載されておりますのでご覧ください。)。
私が自民党にいた当時は、それこそ民主党ばら蒔き全盛でしたが、実はその時自民党は、麻生総理の定額給付金や大型公共事業をはじめ、民主党に対抗するようにばら蒔きを打ち出しており、正直ばら蒔きと言う点では「民主党より左」でした。私は自民党の中にあって一貫してそれに反対していましたので、「保守本流」と見えたのだと思います。
今自民党は、なぜか「弱者への配分」はすっかりやめて、むしろ「生活保護」「高齢者」「外国人」と言った「弱者」をバッシングすることで「強者へのばら蒔き」を正当化しているように見えます。それは「公正なルールによる、公正な社会の実現」からかけ離れていますので、私はやはり一貫してこれに反対しています。それが「保守でない」と見えるのは、私が左に動いたからではなく、自民党が、世論に迎合して、私の左側から、私を飛び越えて右側に移ってしまったからに過ぎないと、私は思います。
「保守」「反保守」に国民を二分して、自分と反対側の相手の言い分に耳を傾けず、罵詈雑言を浴びせて自らを正当化する風潮に、私は極めて残念な気持ちを抱いています。同じ日本国民同士、相手方の主張に耳を傾け、良い点を取り入れあって、より良い社会を作っていければと思います。
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