政府自民党が、「妊娠・出産の知識を学校で教えること」と「三世代同居の優遇措置」を目玉とする少子化社会対策大綱をまとめたことが報道されています。
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この記事に先立ってこの問題をFBに投稿したところ、多くのコメントを頂き、この問題に対する国民的関心の高さがうかがわれます。
さて、40代独身子供なしの私が少子化対策を語ると相当品の良い場でも「まず傀より始めよ!」くらいの野次は飛ぶのですが、これがどうして、私なりに幾年月の独身生活の実体験に基づく少子化対策論があったりします(笑)。
まずもって「お前結婚する気ないだろ!」という世間の風評とは異なり、30代半ば過ぎから40代の独身は、私を含め、男女を問わず、内心かなり焦って婚活を行っています(笑)。その焦りの半分は確かに「もう売れないかもしれない。」なのですが、残り半分は「自分が本気を出せば売れるだろうが、売れても子供を育てられないかもしれない。」という結構虫の良いものだったりします(笑)。ということで、私を含め、少子化対策上問題となるような人たちも、別段「高齢になっても大丈夫。」と思って油断していたからこうなったわけではなく、タイムリミットの存在も、時計の針がちくたくちくたくとなっているのも、十何年も前から重々承知していたけれど、諸般の事情でこうなってしまった訳なので、「妊娠・出産の知識を学校で教えること」の意義は一般論として否定しませんが、少子化対策としての効果はほぼゼロだろうと思います。
さて、その私の実体験に基づいて考えるに、少子化の最大の理由が、女性の社会進出であることは否定できないように思います。私だって若いころは、いろいろあったわけです(笑)が、その時は相手の方のキャリア形成とかがあって、まとまりませんでした。自分の話を離れた一般論として、大学進学・専門学校進学が一般的になった現在、キャリアを持ち続けようと思ったら、20代後半から30代前半に、結婚はともかく、出産・育児の余裕を持つのは、実際問題なかなか難しいと思います。
そしてこの女性の社会進出は、理念からも社会の現状からも、止める理由も方法もありません。また、「少子化の最大の理由は、女性の社会進出」とは書きましたが、女性の社会進出が進んでいるけれど、適切にそれに対応して出産率を回復した国は複数あります。
そうであれば、当然、女性の社会進出にいかに対応するかこそが、少子化対策の中心となるべきだと私は思います。
その観点で考えると、今度は「雇用者」の立場として、「女性が子育てをしながら働く難しさ」(雇用者の立場からは「子育てをしながら働く女性を雇う難しさ」)が実感されます。
私も小なりとはいえ、診療所やら事務所やらで、女性を雇用しています。お子さんがいて時間に制限があるのは最初から分かっているので問題は大きくないのですが、なんといっても困るのはお子さんの急な病気による急な欠勤です(雇用者の側からは、これが一番困ります)。勿論お母さんが悪いわけではないのですが、それを支えるには周囲も結構覚悟が必要になります。
政府自民党が少子化対策に掲げた第2の目玉「三世代同居」は確かにこれを解決するものだとは思います(おじいちゃん、おばあちゃんが病児の面倒を看られますから)。しかしそれが可能な人は少なくとも2世代の職場(場合によっては3世代のの職場と学校)が接近している人や、そもそも三世代同居の住宅を手配できる経済的余裕のある人に限られ、不公平感は否めません。
そんなことをするより、各地に病児保育をできる保育所を増やす、地域の中核病院に病児保育所を併設する(病児保育が必要な場面はそう多いわけではないですから、結構広い範囲に一つあればいいようにも思います)という対応をするほうがはるかに端的で、かつ多くの人が公平に政策の恩恵にあずかれ、働くお母さんも安心して働け、雇用者の側も安心して子育て中の女性を雇用できるようになると思います。
また「子供の急な病気への対応」以前の問題として、働く女性を含め、職場全体が(雇用者として、働く女性だけを特別扱いするのは困難です)、「長時間労働がなく」「ワークライフバランスが保たれている」こと、更には可能な限り「給与が高いこと」が大前提となることは論を待ちません。
そしてそれには、勿論一雇用者として可能な限りの努力はしますが、適切な労働行政と租税上の措置が行われて、社会全体として、従業員の労働条件を守り、給与で報いることが企業自体の存続につながる環境が整備されていることが重要です(ブラック企業が放置されていると、自社だけ待遇を改善するのには限界が生じます)。
つまりは、現在の日本の少子化は、男女平等と女性の社会進出という、ある種必然的に生じた「社会の実態の変化」に、福祉、労働行政、税制といった「社会制度の変化」が追い付かずに生じているのだと思われます。
その対策に必要なのは、「生物学的な限界があるから早めに出産・子育てをしろ。」という言わずもがなのお説教をしてみたり、昔ながらの大家族で暮らせる稀にしかいない幸福な人達を優遇したりして時計の針を逆戻りさせようという努力をすることではなく、時代の変化を正面から認めて、それにふさわしい社会体制を作ることであると、私は思いますし、それを実行できる政治を、ぜひ実現したいと思います。
最後に蛇足ながら、もし小学生のころに戻って教えてもらえるなら、私自身が日々の診療で実感しているところである、「人間、年をとって病気になっても、たくさんの子供、孫にかこまれ、愛されていれば、従容として死を受け入れられるものさ。でもどんなに偉くなっても、お金持ちになっても、死の床で一人だと、寂しくて、死を受け入れることができないんだよ。人間って多分そうできてるんだ。君がどんな人生を歩むのも君の自由だけれど、いつかは必ず死ぬ時が来る。その時君を愛してくれるのは、君がこの世に残す家族だけなんだよ。」と伝えて欲しかったなと思います。多少手遅れ気味ですが(笑)。
>女性の社会進出であることは否定できないように思います
その部分はある程度そうかもしれませんが、男女ともに愛着障害とまでは行かなくても、それに近いものがあって恋愛にすらならないのではないでしょうか。
30-40代の親は、戦中から団塊とその直後ぐらいの世代で、モーレツ社員で家庭を顧みなかった人たちです。核家族化も進み他者の許容を学ぶ機会も減りました。
子は親を見て育ちますので、手本となる家庭が身近に少なかったというのが大きな原因じゃないでしょうか。
その結果、キャリアがどうのともっともらしい理由を言っているだけだと思いますけど。もちろん元の地位に戻りやすくしたり、再就職しやすくることは重要だと思いますよ。
でも、本気で少子化を止めたいのであれば、第一に子どもが起きている時間に親が家にいられるようにする、第二に手遅れ気味の世代はカウンセリングを充実させる方が現実的だと思います。
真剣に婚活をして30代後半でやっと結婚できた男です。
私も婚活して感じた事ですが皆さん危機感が足りなさ過ぎる。
一番の原因は国家が怠け者を救ってやるからいけない。
働かざる者食うべからず。
もっと厳しい福祉、国民に自己責任を求めるべきだ。
国家が自分を助けてくれなければ自分で生活基盤を固めるしかない。
だから家族を作り助け合うのだ。
介護保険など不要。
自分の子供に世話してもらえばよい。
年金も不要。
自分で貯金するか、子供に食わしてもらえばよい。
また、国家の役に立たない人間を食わせるほど日本にゆとりがあるのか?
今、無駄な人間を甘やかしてるツケが何倍にもなって未来の日本を襲うであろう。
余裕があれば全員を救済すべきだ。
でも1100兆の借金を抱えた日本にそんな余裕などない。
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