活動報告
平成27年10月30日の維新の党の、除名議員、党職員に対する党員名簿返還訴訟についての記者会見後の、記者ブリーフィングは、私が行いましたので、その際配布した資料をアップいたします。ご一読いただけると幸いです。
平成27年10月30日
記者会見要旨
マスコミ各位
維新の党
幹事長 今井 雅人
維新の党新潟県総支部代表代行
訴訟担当
弁護士 米山 隆一
第1. 始めに
平成27年10月30日、前維新の党総務会長代行東徹、及び、維新の党大阪本部事務局長島松洋一に対して、維新の党党員名簿の返還請求訴訟を提起したので、以下、概要について述べる。
第2. 訴訟の概要
1. 訴訟の概要
(1) 背景
維新の党では、平成27年7月14日の執行役員会において党員一人一票の代表選挙を決定し、特に8月1日以降党員の拡大に努め、党員総数は、平成27年9月4日時点で、従来の党員9135人に、4万3561人を加えた5万2696名となった(尚、大阪維新の会所属の国会議員が集めた党員数はこのうちの6%弱、地方党員が集めた党員数を合わせて10%弱であった。)。維新の党では、全党員のデータを合わせた党員名簿を作成し大阪本部事務局において管理してきた。
維新の党は、平成27年10月29日の執行役員会において、延期されていた代表選挙を、平成27年12月6日に行うことを決定した。この代表選の実施には、当然党員名簿が必要となる。
また維新の党では、平成27年9月10日の執行役員会において、全党員への党費の払い戻しを決定しており、これにも当然党員名簿が必要となる。
(2) 経緯
従って維新の党では、これまで再三にわたって、現維新の党職員である維新の党大阪本部事務局長 島松洋一氏に維新の党東京本部に党員名簿を提出するよう求めてきたが、島松氏は、東氏より提供しないよう命じられていることを理由に党員名簿の提供を拒み、今もって提供がなされてない。
係る事態となった以上、維新の党は、島松氏が、東氏と意を通じて、何ら占有権原がないにもかかわらず、維新の党の所有物である党員名簿を、私的に、不法占有しているものと考えざるを得ず、その返還を求める訴訟を提起したものである
2. 本訴訟の特徴
(1) 本訴訟の法的構造
本件訴訟は、法人である維新の党と、個人である島松氏、東氏との紛争である。島松氏、東氏が何を主張するかは不明だが、どのような主張をするにしても、党員名簿が法人としての維新の党の所有物であり、島松氏、東氏個人に、党員名簿の所有権も独自の占有権原もないことは、認めざるを得ないものと思われる。
すると、島松氏、東氏は、維新の党執行部の不存在を主張するだけでなく、法人としての維新の党から正当な占有権原を与えられたことを立証しなければならないが、そのハードルは極めて高い。
また、島松氏、東氏、若しくは橋下氏らが維新の党に対して、対抗的な訴訟を行うことも考えられるが、登記されている法人の代表者として訴訟を提起するには、登記による資格証明が必要であり、登記が存しない以上、訴訟の提起すらできない可能性が高い。
尚、橋下氏が主張している不可解な解釈論は、SNSの場ではいざ知らず、法廷においてはおよそ法的立論と評価しうるものではない。「執行部の代表権に対して異を唱えているものがいる。」という事実以上の意味は有さないものと理解している。
(2) 本訴訟の倫理的構造
島松氏、東氏、若しくは馬場氏、橋下氏らは、自らが維新の党の代表権を有することを根拠に当方の主張を否定することが予想される。
しかしながら、百歩譲って彼らの主張を前提としても、彼らは既に維新の党の解散を決議している。彼らの主張は要するに、「解散を決めた以上、解散に賛成する執行部が、解散に反対する党員の意見に一切耳を貸さず、政党に属する財産のすべてを自由に処分できる。従って、党の財産である党員名簿は、その90%以上を集めた党員の反対にもかかわらず、それら党員に一切返却することなく、執行部において、処分若しくは独占する。」ということに他ならない。そのような主張が倫理的に破綻していることは明らかである。
(3) 本訴訟の現実的構造
名簿は当然のことながら複製・分割が可能であり、常識的に考えれば、そもそもこのような争いを行う必要もなく、双方が複製を持ちあうなり、双方が集めた党員の名簿を分割して保有するなりすればよいことである。
にもかかわらず、島松氏、東氏らは、特段の根拠を示すことなく、党員名簿の提供に一切応じていない。
係る事実は、彼らがどのような論理で自らを正当化しようが、結局のところ、党員名簿を提供して一人一票の代表選挙を実行されたら自らの正当性が否定されるから、党員名簿の提供を拒んで代表選挙の実施を妨害しているにすぎないことを端的に示すものである。
つまり彼らの論理を前提としても、彼らの主張の正当性は他人の正当な行為を妨害することによって成立しているものなのであって、到底認められるべきものでないことは明らかである。
第3. 結語
以上、本訴訟は、何ら正当な権限がないにもかかわらず、法人としての維新の党の所有物である党員名簿を不法に占有している個人に対する、極めて正当なものである。
被告ら若しくは橋下氏らからの反論は予想されるが、その反論は法的根拠がなく、そもそも手続き的に極めて困難なものである。
また百歩譲って彼らの主張を前提としても、彼らの主張は倫理的に破綻したものであるうえ、現実的な妥協案があるにもかかわらず、それを一顧だにせず、他人の正当な行為を妨害することによって自らの正当性を確保しようとしているに過ぎないものであって、到底考慮するに足るものではない。
以上
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