本日、安倍総理が靖国神社を参拝しました。これに対し、中国・韓国のみならず、アメリカも、失望の意を示しています。
私自身は、理屈上は、参拝は当然の権利であり、他国にとやかく言われる筋合いではないとは思います。
しかし、同時にそれは、その結果生じる事態をコントロールできる限りにおいてだと考えます。
安倍総理が参拝時期を年末年始が迫っている今にしたのは、おそらくは、年末休暇で各国の政治の動きが鈍くなり、年明けとともに話題が移ってしまうことを期待してのことではあるのでしょう。しかし、おそらく事態はそう甘くはなく、年末から年始に、中国・韓国で反日運動が吹き荒れることは、間違いないでしょう。そしてアメリカは、その仲裁はしないと言うことを明らかにしたと、言っていいのでしょう。
そこまでなら、今まで通り、嵐が過ぎ去るのを待てばそれでよいのだと思います。しかし問題は、現下の状況では、中国が、尖閣への実力行使・・・戦闘機が尖閣上空を飛行したり、一定程度武装した民間船若しくは公船で尖閣への上陸をおこなったりする可能性を、少ないとはいえ否定できないことだと思います。
もしそれが現実のものとなったら、日本政府がそれを実力で排除してもしなくても、極めて大きな問題が生じます。
その事態をコントロールする万全の準備が済んでいるのかいないのか、私には知る由もありません。自衛隊内の指揮命令系統の確立、有事の際の作戦行動の確定、中国上層部とのホットラインの確保、アメリカへの根回し、それらがすべて済んでいて、何があっても不測の事態に陥ることはないという確信の下の行動であるなら、総理の決断に、私が言うことはありません。
しかし、そういった万全の策を打つことなく、漠然と「今までも大丈夫だったから、これからも大丈夫。」と思っての参拝であるなら、私は敢えて、「自らの趣味で国民を危険にさらす、危険な火遊びです。」と申し上げたいと思います。
国際政治は、国と国の利害がぶつかり、「国内の常識」が通用せず、最終的に「実力行使」が許される極めて特異な舞台です。安倍総理が、自らの思い込みや精神論によってではなく、冷徹なリアリズムによって、その行先を決定されることを祈ります。
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