ニュースの感想

景気と物価の動向の予測

  • 米山 隆一
  • at 2009/1/09 06:05:29

 不景気が深刻化して久しく、日本は不景気ニュース一色になっています。しかし私はこの不景気は実のところそれほど長続きせず、少なくとも「世界の景気」(日本の景気でなく)は今年の秋から末期頃にかけて反転すると思っています。理由は3つあります。

1.  新興国の需要と生産力の拡大と言う世界の構図は変わっていません。不景気で一時的に需要が衰えるとしても、一度豊かになった生活水準を落とすことはまずありません。中国のGDP成長率は減速したとはいえ8%、インドは7%です。中国とインドを合わせたGDPはほぼ日本一国分、世界全体の8%程度で、ここが日米欧のマイナスをキャンセルアウトして世界の経済成長はプラスマイナスゼロとなっています。今世界で起こっているのは実は「全体的需要減」ではなく「先進国需要から新興国需要への変化」だと言えます

2.  アメリカの需要は勿論大きく落ち込んでいますが、「消費好き」のアメリカ人気質が変わったわけでは全くありません。単に「借金がかさんで消費できなくなった」だけです。最大の借金、サブプライムローン問題では多くの人が破産しましたが、それは実は、個人レベルではマイナスを消してゼロにしたということを意味します。そして通常であればこのマイナスは金融機関に移転して貸し出しを萎縮させるのですが、現在は、金融機関への大幅な資金注入と金融緩和・不良債権買い取りによって、そのマイナスが更に政府に移転しています。その結果実は個人や銀行は、マイナスだったときよりはむしろ、少なくともバランスシート上は借金をしやすく(させやすく)なっています。アメリカ人が「節約」に飽きると伴に、徐々に需要は回復する可能性があります。

3.  名前の通り今回の不景気は「金融危機」です。アメリカ型金融モデルの終焉を唱える識者も多数みられます。しかし、世界にオイルマネーをはじめとする巨大な余剰資金と、新興国を中心とする巨大な資金需要がある以上、実のところ金融の必要性それ自体は全く変わっていません。優秀な金融人材の人件費が低下し、これらの人材がアメリカから中国インドに流出しています。アメリカの金融機関は政府による金融支援と人件費の低下で息を吹き返し、中国・インドをはじめとする新興国は専門知識を持った人材の確保で新たな金融センターを発展させる可能性の方が高いと私は考えます。そして金融の復活は、そのまま経済の復活を意味します。

 そしてこれらの理由により景気が回復した場合、次に起こるのは強烈なインフレだと私は考えます。現在世界各国が争うように財政出動と金融緩和を行っている影響で、世界には相当額のマネーが提供されています(総額の推計は困難です)。現在は信用収縮の影響で危機以前より流動性が低くなっているが故に物価は低下していますが、ひとたび歯車が逆に回って信用創造が始まれば、このマネーは莫大な流動性を生み出します。その時、原油をはじめとする資源は、昨年夏とは比べものにならない値段となるでしょう。その時こそ、実は日本経済は本当の危機を迎えるのではないでしょうか。

 目の前の危機、目の前の不景気に対応することも非常に重要なことです。しかしそれと同時に、次に起こるであろう事態への対処、新興国需要への対応、新たな金融秩序の迅速な構築、資源の確保、迅速なインフレ対処の準備等々をしっかり行っておくこともまた、きわめて重要な政府の役割だと、私は考えます。


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