活動報告

4.原子力発電

  • 米山 隆一
  • at 2012/12/03 21:58:33

 原子力発電については、「赤旗」の記事でも書きましたが、微妙に日本維新の会の公約と私の意見が異なり、少々書きにくいところはあります。しかし、個人と党の見解が100%一致することはありえませんし、私は「意見が異なる場合は、討論の場で堂々と他のメンバーを説得するが、其の説得がかなわず、党の民主的手続きに基づいて自分の意見とは異なる意思決定がなされた場合は、その決定に従う。」というスタンスですので、ご容赦いただきたいと思います。

 

 さて、今回の福島の原子力事故について私は、既に複数の記事で書いているとおり、技術的な原因によりもたらされたものではなく、管理上のミス-東電と国の「安全神話」とそれと対をなす「反原子力教」とでもいえるべき大衆のメンタリティが複合的に生み出した人災だと思っています。そして、素人ならがら勉強した限り、適切な安全基準の導入、管理、たゆまぬ設備更新と技術革新で、少なくとも今回と同程度の地震・津波がおこっても事故が起きない原子力発電は、現在の技術で実現可能と思います。

 たとえそうだとしても、原子力にはなお、予測できない事故の可能性があり、何より核廃棄物の問題が未解決のまま残ることは、「脱原子力」「卒原子力」派の方々が主張する通りです。

 しかしでは、「脱原子力」「卒原子力」をすれば、日本のエネルギー問題は解決するでしょうか?
 エネルギー資源を持たない日本にとって、エネルギー問題の第一の優先課題、それは「確保」です。現在原子力発電を停止した分の電力は主に火力発電によって賄われています。しかし、石油資源が、早晩枯渇すること、そしてかなり近い将来に途上国の需要拡大によって高騰することは、相当程度に高い確率で予想されています。石油・石炭・
LPGが高騰し、そして枯渇した時、本当に日本が現在のエネルギーを確保できるのか、全く目算は立っていません。代替エネルギーの技術開発に投資すべきことは勿論ですが、これも素人が一生懸命勉強した限り、近い将来に本当に原子力を代替するほどのエネルギーを生み出す可能性は、極めて低いものと言わざるを得ません。

 

 原子力発電に多々欠点はありますが、少なくとも現在日本の電力の1/4もの量を賄い、「確保」という点では一定の成果を上げています。これに対し、代替エネルギーは、全く「量の確保」に至っていません。そのうえで、今後の技術革新で代替エネルギーの生産量が大きく向上する可能性と、原子力の安全性が大きく向上する可能性を比べたら、どっちもどっちというか、実のところ実績のある原子力の方が勝るというのが、現実的な推定なのではないかと、私は思います。

 私は何も、何が何でも原子力を維持すべきだといいたいのではありません。「エネルギーの確保」という最優先課題さえ解決するなら、それこそ当の公約通り原子力発電にはフェードアウトしていただくことに、何の異論もありません。ただ、「エネルギーの確保」という、かつて日本を太平洋戦争に追いやったほどの、日本にとっての最優先課題に目をつむったまま、やみくもに原子力を否定することに、そして、原子力発電における技術開発の可能性を一顧だにしないことに、異を唱えているのです。

 先の演説で、原子力の可能性を例えるのに、ドラえもんや鉄腕アトムを持ち出したことに、一部の方からのおしかりを受けました。しかし私は、技術というのは、それが代替エネルギーであれ原子力であれ、そういう壮大な夢物語と、冷徹な現実論の両輪によって支えられていると思っています。そして、「エネルギー資源の確保」と「技術革新の(相対的)可能性」を考慮した時に、今、日本が、世界最高水準の技術を持ち、世界有数のエネルギーを生み出している原子力技術を放棄するということは、極めて非現実的選択枝であると考えます。
 私たちは、福島原発の事故で苦しんだからこそ、それをばねに、原子力技術も、原子力安全基準も、そして管理体制も向上させ、安全に原子力を稼働して日本に必要なエネルギーを確保しながら、一方で、積極的に代替エネルギーの開発を進め、日本の膨大な需要を賄うエネルギー量を「確保」する現実的方策が立ったその時に、本当に脱原発なり卒原発なりを考えるべきと、思います。


  • コメント (2)
  • トラックバック (0)
トラックバックURL :
http://www.election.ne.jp/tb.cgi/91022

コメント

米山さんの発言は確かにさわりだけを見ると、誤解されるかも知れません。しかし、問題の本質を有権者に迎合せず言及する姿勢は本当に今の政治に求めたいものだと思います。
特にこの原発問題は技術的な点に於いても将来の状況を鑑みても『脱』や『卒』などと安易な選択は非常に危険なことだと憂慮しています。
原子炉を廃炉に持っていくまで数年で不可能なことは現在の科学では仕方ありません。廃炉に持っていくまでには長期に渡る技術力、人材、チェルノブイリに見られるような膨大な人員とその費用、こうした財源が確保されねばなりません。
電力会社も財務があって発電が確保され、安全を保てることは言うまでも無いでしょう。放射性物質は原発を止めたからと言って安全が確保されるものでもなく、完全に管理し続けなけらば大変な危険をはらみます。廃炉まで30年でも定かでなく、使用済み燃料の処理技術も無い現在、将来の技術開発、技術者育成に対してどのように財源を作って行くのでしょう。人口減少、経済縮小の日本であっても20年後30年後、子供たち、子孫たちに放射能だだ漏れの事態を招かぬよう、『脱『や』卒 などと叫ぶ政治をなんとかして頂きたいと思います。
 

  • Posted by まっとうな日本人です
  • at 2012/12/03 22:50:03

某掲示板で米山さんのことを知り、どんな方かと思いブログを拝読しました。
そして、このブログを読む限りでは、非常にまっとうな考えの方なのだということがわかりました。
上の方もおっしゃるように、人々を導く政治家であればなおさらのこと、代替エネルギーの目処も立たない状況で“脱原発”だの、“卒原発”だのと声高に叫ぶ巷の政治家もどきのほうがよっぽど不誠実であり、無責任だと感じます。
私も原子力とどう向き合うべきかをたまに考えるものの、あの事故によって今も、これからも苦しむ人がいると思う反面、日本人としてこの豊かな生活を導いてきた技術をそういとも簡単に手放して良いものかと、長い間答えを出せずにいました。
医者でもある米山さんならよくおわかりでしょうが、「薬」は人々の病気を治す便利なものであると同時に、使い方によっては簡単に人を死に至らしめる「毒」でもあります。
今回の原発事故での犠牲は、確かに償っても償いきれない大きな犠牲でした。
しかしながら、そこで犠牲から目を逸らし、これまで積み上げてきた技術を無に返すことは果たして本当に正しいことなのでしょうか?
これからも議論を重ねると同時に技術を磨き、国民全員で考え続けていかなければいけないのだと、今は思います。
頑張ってください。
応援しています。

  • Posted by 83年組
  • at 2012/12/04 00:45:18

エレログTOP | エレログとは | 運営会社 | 免責および著作権について | お知らせ

政治家ブログ”エレログ”地方議員版ができました。参加お申し込みはこちらから

政治家専門サイト ele-log 国政版 お申し込み 政治家専門サイト ele-log 地方版 お申し込み
国会議員、都道府県知事、市区町村長、都道府県議、市区町村議、および立候補予定者専用

Copyright by Promote committee of Online-Election.,2001-2007, all rights reserved.
ele-log and the ele-log logo are registered trademarks of
Promote committee of Online-Election