TPP交渉に参加するかしないかは、現在非常に熱い話題で、「日本の農業を守るためにTPP交渉参加に絶対反対!」と訴える方が多数おられます。
しかし、そもそもなのですが、国際条約は、「批准」といって、国会で承認されなければ発効しません。交渉に参加し、条約案が固まった時点で、日本の農業への影響を考えるならいざ知らず、交渉に参加もしておらず、したがってどんな条約になるのかもわからない時点で日本の農業が壊れるの壊れないのを論じること自体が、国際条約・国際交渉というものを全く理解していないことを告白しているようなものではないかと、思わざるを得ません。
TPPは確かに「例外なき関税自由化」を標榜はしています。しかし、WTO ウルグアイラウンドだって、「例外なき関税自由化」を標榜して、現在の形になったのです。国際交渉に例外措置はつきもので、私は交渉に参加しながら、日本の国益を守り、かつ各国の利益にもなる形でTPP交渉を締結することは十分可能だと思います。そしてそれ以前に私は、日本の指導者には、国際交渉というと「アメリカから負担を押し付けられる」と決めつけて逃げ腰になるのではなく、是非「日本自らが新たな国際秩序を作るのだ。」位の気概をもって挑んで頂きたいと思います。
さて、そういう「日本の国益を守るTPP」を前提としたうえで、私は、あえて、「農業を守るために、TPPに反対」という論調に、異を唱えたいと思います。
私は米どころ魚沼市の生まれで、現在期せずして実家の養豚業も営んでいます。その魚沼市で、農業従事者人口は10%で大半は兼業農家であり、農業生産額は7%にすぎません。つまりこの地域の農業は、本当のところ農業だけで自活しているのではなく、地域の90%の人口、地域の90%の商工業によって支えられているのです。
「農業を守るために、TPPに反対」ということは、容易です。しかしTPPに参加しないことで、日本の工業製品が売れず、景気が悪化して雇用が崩壊したら、本当に兼業農家は生活できるでしょうか?本当に地域経済は持つでしょうか?本当にこの地域は保たれるでしょうか?
おそらくTPP反対派の方は、「TPPに参加しなくても、日本の製品は品質が高いから大丈夫。」といわれるでしょう。しかしそれは、日本がアジアで圧倒的に技術的優位を保っていた30年前の話です。今は韓国・台湾・中国・東南アジアが日本とほぼ孫尺ない技術を持ちつつあります。そして主戦場となる途上国市場では、100ドル200ドルの差が、関税率5%、10%の差が、決定的な差を持ちます。100ドル高いだけで、日本の家電は、車は、国際競争力を失いかねないのです。
一方で、「TPP参加で安い外国産米が入ってくると、魚沼コシヒカリが売れなくなる」ということは、実のところ真実ではない可能性があります。魚沼コシヒカリは、そもそもが国産米最高値であり、消費者が美味いコメよりも安いコメをもとめるなら、外国産品が入ってこなくても、国内の他の産地のコメを買ってしまいます。魚沼コシヒカリに代表される国産農産物の多くは「高級品(少なくとも廉価品ではない中等品)」であり、比較的価格の影響を受けづらいのです。そしてこういった高級品(中等品)にとって重要なのは、買い手がいること-すなわち景気が良いことです。
TPP交渉への参加の国内農業への影響は、冒頭で書いたとおり、そもそも条約案のない現時点で見通すことが出来るものではありません。そしてたとえ条約案が出来たとしても、考慮すべきことが多岐にわたり、一概に農業を壊すとか壊さないとかと、断定できるものではありません。であればこそ、是非「交渉」に参加して、自らのリーダーシップで、より日本の農業と商工業に役立つ条約を作ることこそが、今を生きる我々の務めであると、私は思います。大人たちの、根拠のない、思い込みのNoで、守るはずの農業も守らないまま、子供たちの仕事や活躍の場を奪うことがあってはならないと、私は思います。
切れが良く定量的比較を入れた意見に賛同できるし、信頼できると思いました。10年先、20年先を見ていない老い先短い人たちの意見がまかり通っていて、政治家は信頼できないと白けていたところでした。増税も原発もTPPも「反対」と言うのは簡単だし、目先だけ見れば理解もしますが、本当にそれで大丈夫ですか?だれかが守ってくれますか?天からお金が降ってきますかと尋ねたい。言い難いことを言える政治家として頑張ってください。
TPP交渉参加に前向きである貴殿の御考え、拝見させて頂きました。
しかし、私は農業関係者ではありませんが一国民として、敢えて反対の立場をとっております。
その理由はTPPの交渉項目は今や26分野にも及んでおり、農業だけの問題ではなくEUのように国家統合を目的とする条約だからです。
今や12カ国のTPP交渉参加国は確実にルールを作っています。そしてアメリカは日本に対してTPP加入の布石として、牛肉・穀物の輸入を始め、軽自動車規格の廃止をしてのアメリカ車の輸入、日本の金融機関へのアメリカの参入、医療・医療保険、医薬においてのアメリカの参入、アメリカ労働者、企業の受け入れ等、日本国民の生活を根本から改悪するような要求をしています。
例え今日本が参加したとしても後からの加盟国と言うことで明らかに当初から不利です。例えればグループにしても後から来た人にわがままなことを言われ続けたり、勝手をされ続けてはグループ全体でつまはじきにするか、制裁を加えるでしょう。
増してやTPPは日本が参加していない今、アメリカが中心となりルールを作っていると言えます。そしてこれまで作ったルールに例外は認めない、と断言しています。日本のこれまでのアメリカとの交渉を見て流石に日本が強い交渉能力を持っているとは言えず、ずっと押され続けてきた印象は国民全体で持っています。
そんななかでTPPはアメリカとの本格的なルール作りをするということで上記以上の提案を要求してくると考えられます。また、日本では信じられないことに猫をレンジに入れて爆発させたことでレンジの企業に対して損害賠償を勝ち取る等、訴訟慣れしたアメリカが相手ということで、これまでTPPで問題視されてきたISD条項、ラチェット規定で要求を動かないものにすることも危惧されます。
上記のことから日本がどんなに主張したとしても、アメリカ中心のルールが出来上がりつつある今、一番単純に考えて多数決の原理から日本の主張がTPPで反映されるとはまず考えられません。
食料においてもアメリカ、カナダ、オーストラリア等面積の広い国の作物や肉類が押し寄せてくることになり、日本の農業が立ち行かず、万が一日本の食料がこれらの国に握られることになっても大変です。これらの国がもし不作になれば自国優先ということで日本に食料は回らなくなり、その結果、これもこれまでの日本では考えられない餓死者が急増することも危惧されます。
憶測と思われると思いますがこれらの可能性も否定しきれませんので、この度投稿させて頂きました。
日本の国政にじかに携わる大いなる可能性のある貴殿のさらなる活躍を期待すると同時に、この問題においては賛成の意見のみで判断せず、反対の意見も是非耳を傾けて頂ければと思います。
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