ニュースの感想

 社会保障制度国民会議が高齢者に応分の負担を求める最終報告を出したというニュースと、民主党が社会保障制度についての3党協議を離脱したというニュースが同時に入ってきました。

 政府の「民主党は無責任」という非難に一理はありますし、民主党の主張する政策が「抜本改革」の名に値するとは私は思わないのですが、しかし民主党の出したコメント「報告書の原案では、負担を増やす必要性ばかりが強調されており、政府・与党には(民主党が主張する年金や高齢者医療制度の)抜本改革をする意志がない」の()以外の部分には、同意します。

 今回の報告書では、「負担能力に応じて」、「介護サービスの利用者負担の引き上げや年金の減額」さらには「年金の支給年齢の引き上げ」を求めるとあります。勿論一つ一つは場合によっては必要になることもあるのでしょうが、「それを実行する場合『共済年金、厚生年金、国民年金』の3制度(但し共済と厚生は27年度に統合予定)のそれぞれの加入者に、どのように負担を割り振るのか?」と言う点については、言及していないどころか問題の所在にすら気が付いていないように見えます。
 「負担能力」と言ってみたところで、平均受給額23万円の共済年金と、平均受給額が3万円の国民年金の受給者の両方に同じ尺度を割り当てることは不可能でしょう。年金支給額引き上げが年金受給者の生活に与える影響も両者では全く異なります。選挙どころか政治活動中8年間私が主張し続けているように、「応分の負担」を国民に求める以上、「負担は公平」でなければならず、其の為には「社会保障制度の抜本的改革」によって、国民全員に同一の制度が適用されることが不可欠であると私は思います。
 
 思えば自民党は、結党以来「利益配分」の政党でした。公共事業しかり、社会保障制度しかりです。この「利益配分」において、人はそれほど「給付の公平」と言うものにこだわりません。もらえる人は今までないものがもらえて嬉しいし、もらえない人も、今までないものがないままなので別段損はしておらず、しばらく政府に従って待っていれば、自分にも利益配分が回ってくるかもしれないからです。「給付の不公平」は「明日への期待」を通じて、自民党が「社会をまとめる力の源泉」ですらあったのです。そして自民党がそれを利用し、それに依存してきたことが、現在のつぎはぎの社会保障制度を生んだといっても過言ではありません。

 しかし、「給付の削減」「負担の増加」となると、そうはいきません。一部の人だけに負担を押し付けたら、必ずその人は、「なんで俺だけ?」という不満を持ちます。負担を免れた人は免れた人で、明日の負担におびえ、圧力団体を形成して新たな負担を避けようとし、それが不公平感を一層増します。「負担の不公平」は「明日への不安」を掻き立て、「社会を分断する原因」になりかねない危険をはらむのです。

 自民党には、一方的に野党を非難し、既存の制度矛盾を放置したまま付け焼刃の負担増で制度を一層複雑化させるのではなく、勇気を持って「抜本的社会保障制度改革」に取り組み、国民の負担を最小限に抑え、「公平な負担」「公平な給付」を実現することで、国民の「明日への希望」の源泉となる社会保障制度を創るという、高い志を持っていただきたいと思います。


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コメント

相変わらずの付け焼き刃感は否めませんね。

  • Posted by あ
  • at 2013/08/05 21:21:49

ねじれ解消後、グダグダ感が酷すぎます。

  • Posted by 雪姫
  • at 2013/08/06 01:47:21

同じ維新の公認候補だったアントニオ猪木氏の
最近の言動(拉致被害者にこだわり過ぎ云々)について応援演説をお願いした身としてはどう思われますか?

  • Posted by とおりすがり
  • at 2013/08/07 14:05:28

「あ」さん、「雪姫」さん、コメントありがとうございます。そうなんですが、なかなか伝わらないですよね。

とおりすがりさん、コメントありがとうございます。

あまりこのトピックとは関係ない質問ですが、一応お返事します。言えることは、「私なら絶対言わないだろうな。」ということに尽きます。
しかし、選挙区(区分)が違うとはいえ、猪木氏は当選で私は落選です。正直社会保障制度を何一つ直そうとしているようには全く見えない自民党候補を選ばれたのも、猪木氏を選ばれたのも、有権者です。質問を質問で返して恐縮ですが、選ばれた方としてはどのようにお思いですかと、私の方が聞いてみたいというのが正直な心境です。

  • Posted by 米山隆一
  • at 2013/08/07 23:20:21

お返事ありがとうございます。
選ばれたとは猪木氏の事でしょうか?
それとも自民党候補の事でしょうか?
個人個人の有権者は自分にとって焦点となる問題が違うので米山様が思うほど社会保障制度の事を重点的に思わなかったのかもしれません。
TVでのアンケート結果も景気対策等が上位でしたし。
また選挙自体ねじれの解消を有権者が望むかどうかみたいな流れに持って行かれ大雑把な選挙になってしまったようにも感じます。
それと多分有権者は立候補者の大まかな政策に関しては認識している人はいても、その詳細についてはほとんど理解してない人が多いと思います。
だから社会保障制度改革が大きな論点にならなかった為そのことで結果が左右されるような事にならなかったのではというのが感想です。

猪木氏についてはあまりグレーな部分を報道されることがない様なので(元秘書さんなどの出された書籍が真実であればほぼ真っ黒のグレーですが)普段のネームバリューで選ばれたんでしょうね。
比例ですし、県代表なら完全に落ちてたでしょう。
(当然参議院選挙の比例のシステムは知ってます)
まあマルハン関係者ですしあんなもんでしょう。
そして発言に関してですが、普通の国会議員なら完全にアウトでしょうが、なぜか猪木氏だとそれほど追求されません。
まあ、そう言う人と思われているって事でしょうか?
選んだ国民も国民ですが、党公認にした党も党だと思います。

  • Posted by とおりすがり
  • at 2013/08/08 07:47:36

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