9月27日発表の新潟県の雇用統計で、7月分の現金給与総額が、前年同月比で2.3%減となったことが明らかになりました。
http://www.pref
安倍ノミクスはさんざん喧伝されていますが、実際問題、給与は上がらないどころか下がっています。
また同時期消費者物価指数も発表されていますが、
http://www.stat
これを見る限り、エネルギーと食糧を除いた物価は‐0.1低下で、ぜんぜんデフレ脱却は出来ていません。それなのに、意図的と言ってよい円安誘導でガソリンをはじめとするエネルギー価格が上昇し、更にそこに天候不順による食料品価格高騰が加わって、総合的物価は0.9%ほど上がり、生活難に拍車をかけています。
安倍ノミクスの結果を冷静に見ると、
①デフレは脱却できていない。
②賃金は上昇していない。
③にもかかわらず、円安誘導で生活に必要なコストは上がっている(ここに更に社会保障費の上昇と福祉削減が加わります)。
が偽らざる実態でしょう。
政府は「これから成長戦略を実行すればよくなる!」と打ち上げていますが、安倍政権が発足して早1年になろうとし、安倍首相自身が「By My Abenomics!」と高らかに打ち上げている割に、株価上昇以外の目に見える成果が上がっていない以上、そもそも「安倍ノミクス」の魔法で、誰一人苦労することなく日本経済が回復するなんて夢だったんだと、そろそろ気づくべき時が来ていると、私は思います。
政権交代の夢、オリンピックの興奮から覚め、冷静に現実を見るべき時が、迫っています。
物価が0.9%上昇してるのなら、国債金利は1.6%~1.7%になってるはずですが、そうなってないのは日銀がQEをやってるからでしょう。日銀がQEを止めれば、物価上昇率分の金利上昇があるから、利払いだけでも倍以上になり、財政を圧迫します。日銀がQEを続ければ、国債は信用を失い金利は暴騰するでしょう。QEは麻薬のようなもので、やりだしたら止める事が難しい。2%の物価上昇率を目指しながら国債金利を低金利のまま維持するのは無理で、最初から矛盾してるのです。
円安でも輸出数量は増えず、減っています。今では現地生産が主なので円安で輸出が増える状況にはありません。為替差益によって一部の企業が利益を得ただけで、他の企業や家計は円安によるエネルギー価格、原料価格、食料品価格高騰で減益です。
雇用も増えず、賃金も増えず物価だけが高くなれば消費も冷え込むので、景気は悪化するでしょう。
失業率の低下と有効求人倍率の上昇は、労働人口が減少した結果で、高齢化の結果にすぎません。実際雇用が増えたのは、医療・福祉分野だけで、高齢化の結果です。
国土強靭化のような公共事業をやれば確実に財政破綻します。ケインズの乗数式そのものが間違ってるので、公共事業に乗数効果はありません。
今後は物価高と不況が同時に進行するスタグフレーションに陥るでしょう。アベノミクスを続ければ、確実に財政破綻します。
物価が上昇しているのに名目金利がそのままなら、実質金利は低下するので、お金を借りる側には有利です。だから企業が銀行からお金を借りやすくなると言うのが、リフレ派の思惑でしょう。しかし貸す側は損をします。融資をするかどうか決めるのは銀行です。貸す側である銀行のほうが力が強いのです。
仮に物価が2年後に2%上昇したとすれば、100万円で買えた物が102万円になります。お金を借りる側にしてみれば、低金利で借りて100万円のうちに買ってしまったほうが得と言うことになりますが、貸す側の銀行にしてみれば、低金利のままだと2万円の損失です。物価が上昇すれば通貨の価値は下がるので、低金利のままだと銀行は損をします。結局、物価上昇分の金利上昇が無いと銀行は損をするため、低金利のまま物価だけ上げると言うのは無理な話です。
今、国債の実質金利はー0.2%くらいまで下がってます。結果、銀行は東南アジアへの融資を増やしています。実質マイナス金利の国内へ融資をするより金利の高い国へ融資をしたほうが利ザヤが稼げるからです。企業も東南アジアへの投資を増やしています。65歳以上の高齢者が人口の4分の1を占め、今後ますます高齢化が進む日本に投資していては、企業は生き残れないからです。
アベノミクスのような事をしても無駄であるだけではなく、市場からの反動があります。
今の高齢者は非正規社員でフルタイム働いている人の手取り収入より、高い年金をもらっているので、年金制度から改善していかないと年金制度を維持できません。また高齢者の高い年金を維持するために現役世代から購買力を奪ってるのですから、経済が衰退します。
年金だけでなく医療も問題です。例えば効くかどうかわからない漢方薬が保険適用になっていたりと改善すべき点は多数あります。漢方が効くかどうかは議論の余地があるでしょう。しかし、漢方薬は漢方の専門医が処方しなければ効果は無いと言う点に関しては、議論の余地は無いでしょう。その他湿布や風邪薬、ビタミン剤など薬局で買ったほうが安く早く買えます。
今の日本では物価が上昇しても経済が成長しても、国債金利が上昇して、財政破綻します。
経済成長すれば、国債より有利な投資先はいくらでもあるため、金融機関が低金利の国債を持っていても損ですから売りに出し、国債価格は下落し金利は上昇します。今では経済成長率よりも国債の金利上昇率のほうが高くなる傾向があるので、経済成長すれば、税収が増えるから財政破綻しないとする説は成り立ちません。今後の日本がそれほど経済成長するとも思えませんが。
名目低成長、低物価、低金利を維持しつつ、実質成長をしながら、徹底した歳出削減を行い、借金を返済していく以外に日本に残された道は無いと考えています。
公共事業にこれ以上投資するには反対という点では同意です。むしろ高度成長期に作られた社会資本のメンテだけでかなりの負担ですから。
ですがどのようにして、国債を返すか=国民の経済的活力を高めるか、という点が弱いと思います。
世間では国債が騒がれていますが、県債市町村債のデフォルトも時間の問題だということも、もっとアピールすべきじゃないでしょうか。
景気が上向いたからすぐに給料が上がればどんなに楽か。
中小企業の多くが長い不況の間内部留保または私財を切り崩し社員の給料や運転資金に回してきたはずです。
景気が良くなり会社経営に利益が出てきたらまずは切り崩した内部留保の増額や負債の返済などに回すのがどう考えても先で給与増額はその後でしょう。
今の日本では技術も資格も無く、単純作業しかできない労働者は必要とされていません。
公共事業に投資する事を止めて、社会人の再教育に投資することで、技術や資格を身につけさせればよいのです。
実際、20年前に身に付けた技術など今では役に立たなくなっています。日本の教育の問題点は、教育の機会が20代前半に限られている事です。この教育制度・慣行が20代前半の新卒者しか正社員として雇用しない慣行とともに日本から活力を奪ってる事も事実でしょう。
>公共事業にこれ以上投資するには反対という点では同意です。むしろ高度成長期に作られた社会資本のメンテだけでかなりの負担ですから。
そう考えるならここ最近の異常気象が原因と思われる災害についても根本的な部分を見直し一定の規模の災害に耐えられるように補強して臨むのか、災害を受け入れ壊れた部分のみを復旧するようにするのか選択する必要がありますね。(基本方針としてですが)
takanoさん、コメントありがとうございます。経済分析、お見事です。「名目低成長、低物価、低金利を維持しつつ、実質成長をしながら、徹底した歳出削減を行い、借金を返済していく以外に日本に残された道は無いと考えています。」に大筋として合意します。付け加えるなら私は、「名目低成長、低物価、低金利を維持しつつ、『合理的なルールを伴ったしかし大胆な規制緩和で』実質成長をしながら、『抜本的な社会保障制度改革と行財政改革で』徹底した歳出削減を行い、借金を返済しつつ、『国民生活のレベルを保っていくという、極めて困難なしかし実現しなければならない道しか』」日本には残されていない、と思います。
名無しさん、コメントありがとうございます。賛成です。
とおりすがり(元)さん、コメントありがとうございます。その通りだと思います。業績向上のたとえば半分が給与上昇に回るとすると、安倍ノミクスによって経済が上向くためには、消費税増税分の2%の倍の4%の経済成長が必要で、これが出来なければ、基本的には大半の人の生活は苦しくなります。これが出来ずに需要が減退すれば、結局のところ安倍ノミクスは失速するということになります。
長くなるのでまた稿をわけて論じますが、企業にはお金が余っている状況で、「インフレと財政出動で企業にお金を集めれば景気が回復する。」と言う安倍ノミクスは、私には極めてちぐはぐな政策に見えます。「資産価格の先行上昇で、消費者の需要が増えた。」という、一時的効果が、「全体的物価上昇」でかき消されるこれからが、安倍ノミクスの正念場でしょう。
尚、takanoさんととおりすがり(元)さんからご指摘がある災害に対する公共事業の考え方については、これまた長くなるので稿を分けて論じさせていただきます。
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