ニュースの感想

  自民党が、消費税増税先送りを掲げて、来週にも衆議院を解散するとの案が大きく浮上してきました。ここにきて突如解散が現実味を帯びてきた最大の理由は、経済状況でもなんでもなく、週末に行われたNHKの世論調査で安倍内閣の支持率が急落して44%、不支持率が急上昇して38%となり、このままでは早晩不支持率が支持率を上回る情勢となると判断されたからだと思いますが、だからこそ、この早期解散論は、極めて実現性が高いものと思います。
 そして国民の大半が否定的意見を有している「消費税増税」を先送りすることを掲げて選挙に打って出れば、自民党はまたしても大勝するでしょうし、そもそも選挙区の情勢調査でそういう結果が出ているからこそ、早期解散が浮上しているのでしょう。

 それを十分承知の上で私は、これを、「無責任解散ここに極まれり」と断じさせていただきます。

 再三指摘している通りですが、黒田バズーカ第2弾によって、今や日本の出す新規国債はほとんどすべて日銀が買い上げており、実質的にはほぼ完全な「日銀ファイナンス」状態になっています。日銀のバランスシートには、今現在で全体の8割、200兆円もの国債が積みあがっており、「延期後消費税を上げる」2年後(当初予定より1年半後は今から2年後です)には、これが全体の9割、360兆円にも達します。
 この状態で国債の信用性を少しでも棄損する行為は、円暴落、国債暴落の悪夢のシナリオを引きかねません。その可能性がたとえ1%だとしても、国家の経済に責任を持つものなら、絶対にとるべき手段ではないと、私は断言します。

 そもそもですが、「消費税増税先送り」論は、「2年後は今より景気がよくなる。」ことを、前提としています。しかしアベノミクス2年間の実験は、今に至るまで結果を出していません。2年間失敗したアベノミクスが、2年後に成功している保証は全くなく、この2年間実質賃金が減り続けたことを考えれば、むしろ2年後は、今よりもっと景気が悪くなっている可能性のほうが高いものと思います。その時日本の財政は本当に危機的な状況を迎えますが、一度「先送り」に慣れてしまった国民は、再度の先送りを強く要望するでしょう。本当に2年後、その政治的プレッシャーを跳ね除けて、自民党は消費税増税を実行できるのでしょうか?それとも再び、「1年半後の先送り」を決めるのでしょうか?
 もし再度の解散先延ばしが行われたら、日本の財政は国際マーケットにおける信用を完全に失い、円暴落・国債暴落に端を発する通貨危機が発生し、日本経済が世界経済の表舞台から完全に消え去りかねません。それを私は、心から危惧します。

 結論として、私は、日銀が黒田バズーカを打ち出す前であれば、量的緩和の順次縮小と共に、消費税増税先送りはありえたものと思います。つまりそれは、アベノミクスの失敗を認め、早期に撤退することを意味しますが、政府日銀は、アベノミクスの継続どころか、黒田バズーカによる、大規模な戦線拡大を選択しました。そうであるなら、「消費税増税」という、いわば「アベノミクスの後始末」も、自らの責任で、確実に、実行すべきものでしょう。「国民に信を問う」などというのは、自らの責任から逃避したことを、国民に押し付ける言い訳にすぎません。

 以上の理由から私は、日本経済の信用性を維持するために苦難を承知で敢えて消費税増税を行った上で、景気の回復を図るための代案として、徹底した「行財政改革」を行い、これで削減された財源を原資として、消費税と同額の、「中間層向けの所得税減税」を行うことを、提案させていただきたいと思います。
 安倍政権が廃止した公務員給与7.8%カットを10%にして復活するほか、政府全体で10%程度のコストカットを進めれば、消費税2%4兆円程度の財源のねん出は、実際可能です。そしてそれを原資として、年収300万円~800万円の中間層の所得税を減税すれば、少なくとも家計の計算上、消費税増税の影響をゼロにすることができます。
 さらにこれは、単なる「税の科目の変更」ではなく、「社会保障は全員がその恩恵を受けるのだから、幅広く課税され、かつ安定的な税収が見込める消費税で賄う。」という消費税増税の本来の目的を実現しつつ、「頑張って働き、社会と家庭を支えている現役世代に手厚く再配分する。」ことにもつながります。また、首相が再三経済界に要請している「給与の上昇-可処分所得の上昇」をほぼ確実に実現することも可能です。

 現在自民党は、衆参で圧倒的多数を占め、本気でやろうと思うなら、何も解散をしなくても、どのような改革も可能です。「消費税増税先送り」という、たった今は良いかもしれないけれど、しかし、国家の経済を出口のない泥沼に陥れかねない安易な手段に頼るのではなく、残りの任期2年間、自ら血の出るような「行財政改革」を行い、それを、額に汗して働いて社会と家庭を支えている中間層に「所得税減税」によって配分するという王道的政策によって、自らの責任で日本経済の回復を実現していただくことを、心から望みます。


  • コメント (0)
  • トラックバック (0)
トラックバックURL :
http://www.election.ne.jp/tb.cgi/97809

エレログTOP | エレログとは | 運営会社 | 免責および著作権について | お知らせ

政治家ブログ”エレログ”地方議員版ができました。参加お申し込みはこちらから

政治家専門サイト ele-log 国政版 お申し込み 政治家専門サイト ele-log 地方版 お申し込み
国会議員、都道府県知事、市区町村長、都道府県議、市区町村議、および立候補予定者専用

Copyright by Promote committee of Online-Election.,2001-2007, all rights reserved.
ele-log and the ele-log logo are registered trademarks of
Promote committee of Online-Election