安倍総理による突然の解散(解散は大抵突然のものですが)表明の後、突然の新党結成、そして突然の合流構想と、突然が続いています。
かくいう私自身、昨年公示1週間前に知事選への立候補を表明し、その後怒涛の選挙戦で知事になったわけですので、政治において「突然」は止むを得ないというかむしろ当然の要素だという部分はあるのだと思います。
私も経験したところなのですが、この「突然」の局面においては、「プレゼン」の巧拙がその後の状況を大きく左右します。突然の局面において人は眼前に展開された状況に目を奪われ、それまでの経過や今後の在り方―「プロセス」を深くは考えてくれません。多少マキャベリ的になってしまいますが、突然の局面ではむしろ意識的に細かなプロセスの説明を省き、自分のコンセプトや方向性を明確に示す方が効果があると、自らの政治経験から学んだように、私は思います。
一方で、これも私自身が経験しているところなのですが、当選後の「継続」的な局面においては、明らかにプレゼンよりはプロセスが重要になります。人は感情の動物です。如何に美しいプレゼンで、理路整然と政策を説明されても、2日、3日経てば頭から消え去り、様々な感情が芽生えます。相手の意見を聞き、適切なプロセスを踏み、決して美しくなくて良いから礼を尽くして根気よく説明をしてこそ、感情としての納得が得られます。そして感情としての納得が得られてこそ、1年2年、場合によっては5年10年かかる政策に、継続的な支持を得ることができるのだと思います。
国政の場では、与野党ともに、高いプレゼン能力を立証してきた方々による華やかなプレゼン合戦が展開されています。突然の局面である現下の政治状況ではそれは勿論、必要なことです。しかし、この「突然」は、早くも10月22日には終了し、その後は打ち出した政策を実行する継続的な局面が否応なく訪れます。
僭越ながら与野党の方々には、その継続的局面においてどのようなプロセスを踏んで政策を実行するのか是非意識してい頂きたいと思いますし、有権者は、それぞれの政党、候補者を、突然の局面における「プレゼン」能力だけではなく、継続的局面において、根気よく、丁寧に、適正な「プロセス」を実行する能力があるか否かも判断の材料にしなければならないと思います。
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