ニュースの感想
希望の党の玉木代表が、産経新聞のインタビューに答え、希望の党は、支持を右へ右へ広げ、かつ、地元活動をして自民党や野党第一党には拾い切れない国民の声をすくいあげ、あまり飛び道具に頼らない政党にしたいとの方針を打ち出されました。
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勿論希望の党の方針は、代表である玉木さんを始め希望の党の皆さんで決めることですので、それ自体にどうこう言う積りはないのですが、県内に希望の党の議員の方もおられない事ですし、あくまで第三者的立場で、「それ、実現可能だと思いますか?」と伺いたくはなります。
「地域の声を聞き、飛び道具に頼らない地上戦で、右へ右へ支持を広げる」というのはそのものずばり、現在の自民党の戦略そのものだからです。
「戦略」とは、Wikipediaによれば「特定の目標を達成するために、長期的視野と複合思考で力や資源を総合的に運用する技術」とされています。
各政党は、「支持拡大」若しくは「政策実現」という戦略目標の達成のためにそれぞれに戦略を策定、実行するわけですが、支持というのは基本的には各政党が取り合うゼロサムゲームであり、当然ながら競争相手がいます。特に新たに参入する新しい政党においては、「既存の政党と競争しながら、その支持を奪って自らへの支持を拡大し、組織を維持・確立しつつ、政策を実現するにはどうしたらいいか?」という、長期的視野と複合的思考に基づく戦略が必要になります。ただ単に、「成功している政党の戦略をそのまま実行すれば、同じように成功するに違いない。」と考えるのは、短絡的に過ぎます。
その観点から見て、先月誕生したばかり、議席数51、地方組織も本部組織もほぼゼロの新政党が、業界圧倒的No.1ほぼ寡占状態の自民党と、そっくり同じ戦略である「地域の声を聞き、飛び道具に頼らない地上戦で、右へ右へ支持を広げる」を取った場合の効果を、繰り返し第三者的立場で、考察してみましょう。
まず「地域の声を聴く」についてですが、「地域の声を聴く」システムが全国津々浦々に張り巡らされている事に関して、率直に言って、現在自民党の右に出ることができる政党はまずありません。各種地域団体、職能団体、有権者そのものが、要望や陳情があればそれを自民党の市議会議員、県議会議員、国会議員に挙げるシステムが事実上ほぼ出来上がっているからです。これに対して民進党他の野党は労働組合や労働系団体等、ある種「得意分野」を作ってそこからの要望を収集することで対抗していますが、そういった「得意分野」すらない希望の党に、個人的要望が散発的に来ることはあっても、地域の要望や陳情が組織的に集まる可能性は、現在の所ほぼゼロだと思います。
「飛び道具に頼らない地上戦」についても、正直なかなか自民党に対抗できる政党はいないのが現状でしょう。地域の声を聴くシステムが確立しているという事は、逆方向に情報や要望を流せば、自民党や自民党の候補者の主張を地域に伝え、人員を動員するシステムもまた確立しているという事です。そういったシステムを持たない新政党が正面から地上戦を挑んでも、戦車部隊に歩兵が突っ込むようなものだと思います。一方で、従来ポスターやTVのみだった「飛び道具」はインターネットやSNSの普及で格段にバリエーションが増えており、実際イメージ戦略とSNS戦略が奏功した立憲民主党が、立党1週間後公示の総選挙で大きく躍進したのはご承知の通りです。
「右へ右へ支持を広げる」に至っては、それこそ昨今話題の日本会議等々と自民党との関係は、私が自民党に居たころよりもはるか昔から長い伝統をもって確立しているものであり、いまさらこれらの「右」の団体や有権者が、自民党以外の支持に変わる可能性は極めて低いものと思われます。
以上、玉木代表が今般打ち出した「地域の声を聞き、飛び道具に頼らない地上戦で、右へ右へ支持を広げる」戦略は、正直何の工夫も新味も無い「自民党完コピ戦法」に過ぎないといって過言ではありません。新規参入者である希望の党が業界最大手である自民党の成功戦略をそのまま採用しても、上述の通り、戦車部隊対歩兵隊が正面からぶつかる闘いとなり、勝負の帰趨は日の目を見るより明らかで、絶望的な戦略性の欠如と言われてもやむを得ないのではなかろうかと思います。
繰り返し、どの様な戦略を採用するのも自由なので余計なお世話であろうとは思いますが。
米山知事の意見に同意です。
正直、戦略性の欠如というか、やりたい事とそれを見実現するための方法が良く分からないですね。
国民は別に細かく拾って欲しいと思ってないですよ。大きな思いを、間違った方向でなく正しい方向に進めて欲しいと願っているだけです。飛び道具でもなんでも使えば良いのに。今時、細かい関係なんてメンドくさい。
個人的には将来への「不安感」が種々の問題全ての根本にあると思いますので、それを払拭できるような政策やってくれる政党を求めています。
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