企業団体献金禁止、脱官僚に続き、最近は政治家の世襲制限(禁止)が注目されています。あたかも世襲候補が悪いようなイメージ・メッセージが繰り返し報道されています。はたしてそうなのでしょうか?またマスコミでも多くの学者や評論家の方々がイギリスの下院の例を出して日本も見習うべき云々、と言われています。しかし、ご承知のようにイギリスは(最近一代限りが増えたとはいえ)世襲が原則の貴族院があるお国柄。貴族院の代表が女王で、下院の代表が首相ともいえるでしょう。下院ぐらい世襲制限をしよう、というのは当然でしょう。アメリカはケネディやブッシュ、クリントンなど世襲政治家の例をあげればキリがありません。そこら中にJr.がいます。政治家の出身職業(たとえば官僚)で差別したり、出身系譜(世襲)で制限すること自体、民主主義の根幹にかかわる問題だと思います。国王が世襲を決めるのではなく、選挙で選ばれているのですから。私が若い頃仕えていた故椎名素夫代議士は椎名裁定で有名な故椎名悦三郎氏の世襲代議士でしたが、今でもあんなりっぱな政治家はいないだろうと心から尊敬しています。実に高潔で常に父親譲りで国家を考えている方でした。傍にいて、たまに難問にぶつかられた時、”親父だったらどうしたかなあ”と代議士が呟いていたのを記憶しています。政治家はある意味、プロでなければならないと思います。外交・交渉・危機管理等々、素人感覚も必要・大切ですが、同時にプロフェッショナルな感性・面も必要です。りっぱな政治家が父親ならば”門前の小僧、習わぬ経を読む”もありでしょう。たたき上げの政治家が世襲政治家よりもいい、という保証もどこにもありません。どんな出身だろうと国民目線、国民本位の政治をしてくれればいいわけですから。また一部に世襲でも選挙区を変えれば(イギリス並みに)良し、という説がありますが、こんな屁理屈はありません。昨今事情が変わったとはいえ、わかりやすく言えば、3バン、即ち従来型の選挙で当選に必要と言われた地盤・看板・鞄の内、地盤だけ変えてもあとの看板と鞄は残るわけですから。政治団体の相続の問題云々を問う前に世襲や官僚出身者以上に資質のいい人が政治家をめざしてくれるような環境づくりをみんなで考えていくべきではないでしょうか?私は私なりで選挙で、少しでも世襲でも官僚でもない政治家のプロを目指す人が当選できるようなお手伝いもしていきたいと考えています。水道の蛇口を締めることより、蛇口を増やすことを考えないと、国民のための政治環境づくりにはならないと思います。
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